「ございます」が消えた

前の稿で、関西電力の答弁の「ございます」について書いた。
この答弁は、6月24日の「報道ステーション」での関西電力岩根副社長の答弁だった。
この同じ画面が翌25日に「モーニングバード」でも放映された。しかしここでは、「ございます」は全く消えていた。「おまっています」もなくなっていた。
より簡潔に編集したということなのだろう。
下の動画を見てみよう。
関電答弁(報道ステーション)
このしゃべりを忠実に再現すると次のようになる。
<現時点で2030年で何%が適正ということは、あの申せません。
11基の原子力発電所がですね、全部止まればですね、9000億円というですね、膨大な、え~燃料費および代替コストが発生するという風に考えてございます。え従いまして今後合理化等も考えてございますがやはり相当の原子力(発電所)が再稼働しなければですね、え~持続的継続的な経営は難しいという風におまっております。>

これが、モーニングバードでは次のように編集されている。
関電答弁(モーニングバード)
カットされて消えた部分は、<いう風に考えてございます。え従いまして今後合理化等も考えてございますが>というところと、<いう風におまっております>の2カ所である。
ニュースなどやその他の画像というのは、まずどの部分を放映するかのセレクトがかかり、次には修正が加えられているのが常なのである。

ずいぶん昔のことになるが、1969年に学園紛争に明け暮れる学校に嫌気がさしたこともあって<西パキスタン辺地教育調査隊>という探検調査隊を作ってパキスタンのスワット地方(現在ではアルカイダの本拠となっている)に赴いたことがあった。そのときに松竹映画社からフィルムと撮影機を借りて記録映画を作った。
この16mmの映画の編集に協力いただいたのは、京都市役所広報課勤務の撮影技師・寺島さんだった。松竹映画社から提供いただいた16mmフィルムは、当時アマチュアが用いた8mmフィルムなどと異なり、映画に用いられるネガフィルムであったから、さらにポジに焼き直しする必要があった。そういう訳で、40年以上も昔のこの動画は異例に奇麗なまま今日まで残った貴重なものといえる。この「ハラハリ(Kharakhari)」というタイトルのドキュメンタリーはYouTubeで見ることができるし、ぼくの別のブログ<高田直樹ウェブサイトへようこそ>でも見ることができる。
記録映画「ハラハリ」(1969年制作) on YouTube
この調査探検隊のメンバーは、ほぼ一ヶ月の間、毎夜寺島さんの家に通って、映画の編集をした。映画作りのいろはも学べたのだが、その時々に聞いた彼の話は大変興味深いものだった。
たとえば、知事の演説のシーンなどでは、音声の編集でいい澱みなどは全く消し去ることができるし、内容を逆のニュアンスに作り替えることさえ可能だということだった。

動画というのは所詮そういうものなのだから、あまり鵜呑みにできないということなのであるということを、改めて思い起こしたことだった。

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