男子サッカーに金の香り


男子サッカーU23の日本チームは、トーナメント第一試合の準々決勝でエジプトに3−0で完勝し、ベスト4となった。
5月に行われたオリンピック前哨戦といわれるトゥーロン国際大会では、オランダに3−2で勝ったものの、グループ最下位でトーナメントに進めず、どうなることかと思われた。
ところが、オリンピック予選リーグが始まると、目を見張る変貌ぶりで勝ち進み、グループリーグを1位で通過した。注目すべきは、トゥーロンでは3試合7失点だったのに、3試合0失点であったことだ。
この高い防御力はどこから来ているのだろう。
強力なオーバーエイジ吉田の参加も大きいが、何よりも前線で強いプレッシャーをかけることにより、攻撃を高い位置で封じるという戦略が功を奏している。それに加えて、俊足の永井、桜井と言ったフォワードが前方に張り、常にカウンターの脅威を相手に与え続けることが出来るし、実際に鋭いカウンター攻撃が可能となっている。
このことが顕著に現れたのは、グループリーグ第一戦スペイン戦だった。この戦術は準々決勝のエジプト戦でも貫かれ、3−0で勝った。エジプトには、トゥーロンではなんと2−3で負けていたのだ。
トーナメントは、一発勝負であり、ゴールを先取することが大きな要素となるが、まず点を取られないことが最重要だと思われる。ところで現在の8チームのうち、失点0のチームは日本とメキシコだけなのである。
守りを固めてカウンターで得点するというやり方は昔からあり、たとえばカテナチオ(鍵かけ戦術)と呼ばれるイタリアで考えられた戦術が有名である。しかしこの引いて守るというカテナチオも今では通用しなくなり、イタリアチームも今年のヨーロッパ選手権では全くの変身を遂げたと思えた。
引いて守りカウンターで得点するという古典的な戦術で、2004年のヨーロッパ選手権を制したのはギリシャだった。オットー・レーハーゲル監督はこの方法を貫いたといえる。このとき、ギリシャは、準々決勝、準決勝、優勝戦とすべてのスコアは1−0なのである。
しかし、その後のギリシャがふるわないように、このやり方はもう古い。今のサッカーには通用しない。ただいえることは、相手にゴールを与えなければ、一点取れば勝てるということなのである。
高い攻撃能力をもつ日本は、失点さえしなければ勝てるのだ。
これは、点をとられてもいい、それ以上に得点すればいいという感じのブラジル・サッカーとは違う。考えてみれば、ブラジル・サッカーを手本としていた日本は、もう昔になったといえる。
それにしても、日本はいつからこんなに強くなったのだろう。
考えるに、その転機は、2003年にイビチャ・オシム監督が日本にやって来た時からではなかろうか。彼が日本人に教えたことは、日本人は他の国の人にはない高い技能があることを自覚して、その特徴をのばせばいい。もうひとつは、サッカーには哲学ともいうべきものが必要であるということだったと思う。
これは、日本のJリーガーに大きな啓示だったのではないだろうか。間違いなく、そう考えただけでJリーグのレベルは上がったのではないだろうか。
今回のオリンピックチームのメンバーの所属は、すべてJリーグのチームであると言っていいのだ。

ぼくは、生きてる間に日本がワールドカップで優勝することなどあり得ないと思っていたのだが、もしかしたら優勝戦を戦う日本を見ることが出来るかも知れんなどと思い出し、急に命が惜しくなって来ているのである。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です