引きこもりの一年

 ずいぶん長い空白が生まれたようです。
 なんやらかんやらがあって、「葉巻のけむり」のサイトを開くことがなかったのです。
 今見てみたところ、最後の書き込みは3月3日です。
 でもこの長い空白の原因はもっとずっと前なのだと思い当たりました。それは昨年の6月の落馬事故です。その当時は、全く大したことだとは思っていなかったし、すぐに治って再開するつもりでした。
 全くの不注意で、飛び乗って、鞍の後ろの座ってしまったために、驚いた馬は暴走しカーブで振り落とされたのです。でも足首の捻挫だけだったので甘く見ていました。

 ところが、案に相違して、これがなかなか治りませんでした。松葉杖はすぐに必要なくなりましたが、脚全体の腫れは少しも引かなかったのです。
 しかたなく、じっと座ってテレビを見たり、パソコンでYouTubeを見たりの日々を過ごしていました。
 ちょうどその頃は、うまい具合にサッカーのワールドカップが始まっており、毎日毎日熱中して試合を見ていたのです。
 でも、この怪我で、ぼくの生活は大きく変わりました。それまでは、週3回、車で乗馬クラブに通い、日中のほとんどをそこで過ごしていたのが、家にこもって動かない毎日が続くことになったのです。

 早く馬に乗りたい。再開は年末から、と思っていたのが、年が明け、それでもまだ腫れは引きませんでした。捻挫の足首部分は、ずっと早くに完治していたのですが、古傷の膝の痛みが再発してきました。
 膝の痛みも少し暖かくなったらましになるだろう。再開は春先にするか。
 春になって、腫れもようやく治まってきていました。もう全く問題はなくなっていました。
 ぼくが乗馬を再開しようとするのを、強力に止めようとしたのは家内だけではありませんでした。娘たちも反対でした。教え子の整形の女医さんとその旦那の外科医も「今度落ちたら死ぬ。そんな事例を知っている。絶対止めてください」と家内に言ったそうです。

 ちょうどその頃、ぼくのオーディオ・システムが故障しました。
 大学生の孫が、高校の頃からビートルズに凝っていて、レコードを買っては持ち込んで、鳴らすということが何年が続いていました。だから、孫が来た時だけ、ぼくはレコードを聴き、ぼくが作ったこのシステムを伝えるものが現れたことを喜んでいたのです。
 このオーディオ・システムはもう40年以上も昔のものなのですが、自作の管球アンプなどは2回ばかり、メンテナンスに出しており、いい音を響かていたのです。
 右側スピーカが鳴らなくなり、右側の管球式のパワー・アンプが故障したらしいことがわかりました。