防空識別圏のこと

最近のニュースで防空識別圏という聞き慣れないことばが登場してきました。
チャイナがこの「防空識別圏」というものを設定し、申告なくその範囲に入る航空機にたいしては、断固とした処置をとるなどというようなことを言ってきた。
この「防空識別圏」とは、air defence identification zoneのことで、ADIZと略されて、エーディズとかアイディズと呼ばれるようです。

これはいったいなんなのかといえば、調べてみたのですが、まずは領空の概念が必要です。領空というのは領土の上空空間の大気圏内ということになっています。そこに許可なく入ると領空侵犯ということになる。
各国は領土だけではなく領空の主権も守っていますから、そこに入ってきて指示に従わない航空機は撃墜してもいいことになっています。
むかし、大韓民国の旅客機がソ連の領空を侵犯し、境界をかすめるように飛び続け、後に続いて着陸しなさいというソ連のスクランブル機の指示に従わなかったため、領空を出る直前に撃墜されるという事件がありました。

日本の防空識別圏

日本の防空識別圏


領空侵犯を防ぐためには、対象機が領空に入る前にそれをしってスクランプル発進をする必要があります。その為に領空域よりも大きな範囲に防空域が設定され、ここを通過するためには通報を行う必要があることになっている。
それをしないで侵入しようとする不明機に対しては、スクランブル機が強制着陸させるか、退去させることになるわけです。このADIZを始めたのはアメリカだったようですが、だいたいどこの國でも同じ考えで防空識別圏は設定され運用されてきたようです。
でもチャイナにはこれまでそんなものはなかった。なかったからいま通告してきたということだと思います。

日中の防空識別圏

日中の防空識別圏


領空を守るのは主権国家としては当然のことですから、そのために必要なADIZを勝手に決めても、そんな防空識別圏はおかしいと関係国はいうかも知れないけれど、それだけの話です。強い方の言い分が通ってしまいます。国際社会はそうしたいってみればマフィアの世界なんだとぼくは思っています。
だから、むかし李承晩ラインを韓国が勝手に決めて、日本の漁船を領海侵犯で拿捕したし漁民を殺したし、長い間抑留したけれど、日本は奪還できなかった。竹島をとられてもなんにも出来なかった。
理不尽にも北朝鮮に何百人という同胞を拉致されても、取り返すことも出来なかったし、いまもそのままなのです。

そうした世界で、これまでは東西対立の中で、アメリカが世界の警察を自認して西側世界の安定を保つ努力を、それが国益だったからではありますが、やってきました。
その警察が力を失いつつあるのが現状で、そこにチャイナのような法律が名目としてしか存在していないというような独裁王朝の國が好き勝手をやり出したということなのでしょう。
チャイナの狙いはハッキリしていて、日本が諦めて、尖閣に対する考えを認めてくれることです。確かにそれなりの理屈があるねぇ、といってほしい。そうすれば、そのうちに沖縄も領有できるし、そうするのが世界のためなんだ。そんな勝手な考えを抱いているとしか思えません。

最初は尖閣に押し掛けるだけだったのが、巡視船がやってきて、そっちが出て行けここは俺たちの領海だなどと叫びだしました。
それに呼応して、外交的にはそこが係争地であることを認めれば、話し合いに応じましょうなどと馬鹿げた提案をしています。
脅したりすかしたりの情報戦をやっているわけです。公船の赤外線照射や無人偵察機など、次々にちょっかいをかけてきます。
しかし、日本は一向に話し合いにも応じないというか、対話のドアは開いていると称しながら,まったく譲歩するところがない。
ずっと円高の恩恵に浴し続けていたのに、いまの状況はとんでもなくなって断末魔の状態になってきた。

そこで、ステージアップとして考えたのが、今回の防空識別圏の設定だったと思います。日本のそれと重なっているのが問題などといわれていますが、尖閣を領有しているつもりなのですから、重なって当然のことでしょう。
もともとADIZ・防空識別圏は、領空域を守るためのスクランブルに必要なタイムラグを埋めるためのもので、領空権とは異なる基本的には自由通航の領域のはずです。チャイナはそこを取り違えているのか、あるい確信犯的に尖閣諸島の海域の状況を空にも作り出そうと考えたのかもしれません。

それにしても、尖閣をかすめて飛ぶ日本の民間航空の台湾便に、遠い大陸からスクランブルをかけるのは大変です。ジェット旅客機はけっこう速い速度で飛びますから、追いかけるのは大変。どんどんスクランブルかけてもらって油を浪費してもらえばいい。
日本の民間航空会社は、早々と飛行計画を出すことを決めたと聞きましたが、すぐに取りやめることにしたそうです。乗客の安全は確保できると判断したそうでけっこうなことだと思いました。だいたい領空以外で撃墜されることはあり得ないし、ADIZから出てゆけばいいわけで、チャイナのいってることが常識はずれなのです。

新設された福建・水門空港

新設された福建・水門空港


今回のチャイナのADIZの設定は、どう考えても広すぎます。ADIZを領空的に考えてるんではないかと思ってしまいます。そんな遠くまでどうやって見張るのか。偵察機を飛ばすそうです。空中給油機を使って飛び続ける。大丈夫なんかいな。
どうやらスクランブルのための空港を作ったらしいのです。福建省の水門空港です。
それは、衛星写真によるウォッチの成果なのですが、9年に建設が始まり11年に完成したのだそうです。
そして、12年にはJ-10戦闘機や軍事車両の配備が確認されています。
ここから台北までは250キロ、尖閣諸島までは380キロ、東シナ海の東暁油田までは200キロと戦略的に有利な場所にあります。内陸部でもどんどん空港を作っているといいます。

そんな具合にいかにも戦争を起こしたがっているような様子なのですが、本音は戦争は絶対したくない。戦争しても、絶対に勝ち目はないというのが分かっているからです。それに、下手に戦争をすれば、民衆が反乱するかも知れないと恐れています。
解放軍の兵士が、上官だけがいい家に住んでいてけしからん。もっといい家をよこせとデモをするような軍隊なのです。
だから、戦わないで勝つにはどうすればいいか。その目的に向かってあらゆる手だてを考えてくる。それがチャイナという國なのです。
日本としては、情報戦に動じない心構えを持つことと、ASEAN諸国を始めとする外国にアピールしながら、連携を強化すること。そしてなにより軍備を増強することです。
今回の件に関しては、沖縄からのスクランブルでは、チャイナの水門空港からの距離とあまり変わらない。早急に石垣島からスクランブルをかけられるようにすることだと思うのです。

そういうことが分かった上で、情報戦に打ち負かされることのないようにすべきだと思います。あの『ゴッドファーザー』でマーロン・ブランドのドン・コルネオーネが引退することになります。そうすると、新しい序列付けが求められ、コルネオーネ家を倒そうとする勢力が台頭します。跡を継いだ息子のアル・パチーノのマイケルにドン・コルネオーネは何度も何度も繰り返します。
向こうから話し合いをしたいと言っているとつなぎを買って出る男が身内にきっと現れる。その男が「裏切り者」だ。裏切り者に気を許すな。
これはいまの日本といわゆる近隣諸国との関係にもそのまま当てはまりそうです。中国・チャイナとのj話し合いや和解を持ちかける日本の人たちには気をつけろということになります。でも、そんな人、ごろごろいるみたいですよねぇ。國を裏切る人がごろごろいるなんで、なんだか気持ち悪いですねぇ。