憲法を考える 3/4

八木:本日お越しのゲストには、憲法改正の必要性についていろいろお話を伺っていたんですけれども、現実的に改正してゆくにはどのような手続きが必要かという所なんですが、山本さん。
山本さん憲法96条山本:96条にですね、改正手続きが定められています。参議院と衆議院のそれぞれ3分の2以上の賛成で、国会がこれを発議する。国民投票を経て成立するという手続きなんですけれども、憲法に国民投票と国会のうんたらかんたらとしか書いてなかったので、どうするんだろうというのがあって、長年の懸案だったんですけれども、これ安倍さんが(前の)総理の時に国民投票法というのを制定して、一昨年から施行されています。
 例えば投票権は18歳以上とか、発議から60日以降180日以内に国民投票を行うとか、あるいは改正条項、条項を一条づつ投票してゆくということまで決まっています。

八木:田久保さんから伺いたいんですが、どう具体的な作業をしてゆくべきなんでしょうか。
田久保忠衛田久保:これはどうゆう手続きで変えてゆくか、いまこの96条ですねえ、3分の2を2分の1にすると、過半数というのは民主主義社会のひとまずルールになっている。この3分の2というのはですね、まず改憲なぞできないような秘密の条項で埋め込まれちゃったと思うんですよ。だからこれはねえ、なんとかしてこれを改正しなきゃならないんだけれども、例えば占領中に作られたもんだから無効だ、廃棄宣言をやれとか閣議でやれとか、国会で声明を出せとか、いろんな人がいろんなことを言うんです。
 ただねえ、わたしは目的は改正であって、その手段というのは96条の3分の1の数字を2分の1にするのが、まあ難しいけれども穏やかなやり方ではないか。これに成功すれば、これをなんだかんだという無効宣言をやる、するとまたそれの無効宣言と大混乱に陥る可能性があるんだけれど、これが比較的穏やかではないかと思うんですよ。
国民投票法安倍:この国民投票法が安倍政権時代に成立しました。これ議員立法なんですが、これが成立した時にですねえ、3年間施行はしないんですよ。で、この3年間の間に宿題を国会に与えました。ひとつは18歳に投票の年齢を引き下げました。ひとつは18歳に引き下げたことによって、いわば権利と義務の問題が生じます。
安倍内閣宿題民法との関係等々をちゃんと整理しましょうという宿題ですね、あと公務員ですね、国家公務員にこの憲法改正について運動指定のあるいはどういう規制を掛けるべきかということについて議論しましょうね。これはまあ憲法改正についての予備的・調査的な国民投票が出来るかどうかということを含めていろいろ議論してゆきましょうということをやる予定だったんですが、民主党が一切協議に応じなかったんですね。
安倍さん最初わたくしが、議員立法でありますが、自民党のリーダーとして通すと言って通しました。まあ随分強い反対だったんですが、まあ民主党の枝野さんなんかは、安倍晋三が総理の間は一切審議はしない。安倍晋三がこれを決めたから物事が進まないなんていまでも言ってる人がいるんだけれど、私はそのあとしばらくして辞めて、もう随分たちますよね、それなのにしないんですから、それほどいわばどうしても指一本触れさせたくないという人たちの意向というのがかなり暴力的に強いんですね。
 でもそれっておかしいですよ。法律を変えたんだったら、ちゃんと国会に責任を与えたんだったら責任を果たすのは当然じゃないですか。そういう責任すら果たさないという護憲論者の姿勢というのは根本的に間違っていると思います。

そこで96条ですが、私もまず96条から改正すべきだろうなあと思います。これは国会議員の3分の2以上が賛成しないと国会が発議できない。で、発議したあと国民の2分の1、国会の3分の1と国民の2分の1、両方かかってますから憲法を変えるのはきわめて重たい、難しいといわれています。ですから硬性憲法といわれています。憲法を変えるのは難しくて当然なんだと私は思いますよ。
4人しかしですねえ、国民の過半数以上が6割7割がですねえ、変えたい帰るべきだと思っていても、たった国会議員の3分の1ぐらいがね、反対すれば出来ないとゆうのは、これはおかしいでしょ。おかしいんですよ。これがあるからこそ、ずうーっと長い間実は改憲の論議がリアリティーを持たなかったんですね。
 つまり国民がみんなで憲法をどういう憲法を作っていこうかということをわくわくしながら考えようという道を、国会がバシャーンと閉じていたんですよ。リアリティーがないからそんなことどっちみち無理でしょうと、そんなこと議論するよりも、そこにエネルギーを費やしたって無理なんだから別のことをやりましょうよと来て、ずうーっと今日に至ってるんですね。
反町:96条も憲法の一部である以上憲法改正をやる為には憲法改正条項に則ってやっていかねばならない。
安倍:もちろんそうですよ。
反町質問反町:96条を変える為にも国会議員の3分の2の発議が必要で、国民の過半数という、これ、もうすでにお分かりにっておられると思いますが、いまのねじれ国会で、しかも次の選挙をにらむと、どこの勢力が台頭してくるかも分からない。具体的な永田町の勢力図ないしはこの次の選挙のあとの勢力図まで見通した時にここ10年20年のスパンで憲法改正というのが具体的な政治スケジュールに上ってくるような・・・・
安倍:それは国民の議論を閉ざしてるんですから、この条項によってね。でも、この96条2分の1によって、国民投票があるんですから硬性憲法という性格は変わりません。これは変わりません。例えばアメリカは国民投票ないんですから、議員の3分の2ではありますが国民投票はありませんね。だから硬性憲法という性格は変わらないし。
反町;なるほど。
安倍:いま私が申し上げました通り、重ねて申し上げますが、国民の半分以上が、じゃあ6割近くが変えた方がいいと思ってるのに変えられない、たった3分の1・・・
反町:具体的にはこの96条、国会議員の3分の2を半分にする。国民投票も当然国民投票後作られたお立場ですから、これをそのまま枠として2分の1ということをお考えになっておられる・・・。
安倍:そうです、そうです。自民党の案もですね、第10章において全議員の過半数の賛成で国会が議決しと、こう書いてあります。ですから自民党案もそうなっている。
反町:それは、政界再編というのかどうか分かりませんけど、憲法改正是か否かというある意味で大きな合従連衡が行われる、そこまで視野に入れた、あの。
安倍:それは当然、そういう可能性も含んでると思いますよ。そういう大きな枠組み大義のある骨格でですね、再編というのは行われるべきではないのかと思いますね。

提言安倍安倍:「真珠の首飾りからの解放」と。これなんだというふうに思われるかもしれませんが、最初にお話をしたですね、GHQが25名の人たちに委員に改憲を命じましたね、改憲草案を作る、それはまあGHQというのは軍人ですから、作戦名を付けるんですよ、そのコードネームが「真珠の首飾り」、それからもうこう首に掛けられちゃったんですよ。これね。
八木:はあ。
安倍:それからずうーっともう首にぶら下げてるんですよ。もうそろそろそこから解放されていいんだろうと、思いますね。
八木:ふうん。
安倍:今日わたしあの若い人たちとね、たまたま高尾山に登ったんですがね、でその若い人たちといろいろ話をしていました。学生の人たちみんな20代の人たちなんだけれど、彼らはですね、意外と彼らはこの制定過程にも造詣が深いというか勉強していて、これやっぱりおかしいでしょ、自分たち率直におかしいと思う、こんなこと全然教えてもらわなかった、であれば当然そこから自由になって、自分たちがこれから生きてゆく私たちがいろんな理想こうあるべきだ、世界に対して日本の考え方を示してゆく、そんな憲法にしたいなあ、という話をしてましたね。
 ですからもうそれから占領時代の精神からちゃんと解放される、自分でですね、そこから、そこから解き放たれて、いわば脱却をして、そしてまさに私たちの国を作ってゆこうという気迫とスピリッツを投げ出してゆこうということが、いまこそ私は求められているんだなあということを考えるとですね、八木さんや反町さんも、どうゆう国にしたい、じゃあどうゆう国にしたいか、ということを考えるとね、なんかわくわくしないですか?
反町:はあっ。
安倍:反町案とか、自分はこう考えるとかね、いいじゃないですか、そういうことをみんなが考えるというのは。それから阻害しているのが96条だからおかしいでしょということを言ってるんですね。
八木:ふうん、はい。
反町:どんな風にしたいんですか。
八木:はい。
反町:失礼しました。
八木:ありがとうございました。

提言田久保田久保:私はこういう言葉であります。改憲というとね今まで鷹派。護憲というと鳩派。あるいは保守は対リベラルの対立ということをいったんだけれども、憲法が出来た時から66年まあ満65、大きく国際情勢が変わっちゃった訳ですね。我々が今切実に思ってるのは、外敵はもちろんこれ防衛問題がそれだけれども、自然災害もそうです、あの非常事態条項というのが憲法にないというのはこれおかしいじゃないかと、こうゆうことなんですね。
 わたし前文のことを申し上げましたけれども、日本は美しい国なんですよ。伝統のある国で、皇室のご存在というのは日本の国柄のひとつの大きな特徴じゃないか、これはね、日本の特徴はなんですかといわれた時、外国で胸を張っていえるのはこの点じゃないか。そのいい国を土足で入って来た、大災害の時に内閣総理大臣のもとにぴしっと災害の対策の取れるような条項を憲法に持っていない、おかしい、したがって護憲派というのは平和を愛さない人たちなんじゃないか。改憲というのは本当にこの国が大好きであるから、この国を守らなければならないというので、わたしは改憲と防衛というのはコインの裏表ではないかという風に思います。
八木:色々な解説で、伺って来たんですけれど、お二人のご意見伺って来たんですが・・・。
山本文庫本山本:まあこれわたしの持論なんですけど、人間というのは不完全である。人間の作るものは従って不完全である。従って、常によりよきものを目指してゆくしかない。日本国憲法だってそうだと思うんですよね。何となく感覚的に憲法って人から与えられたものみたいな、最初からそこにあるもんですから、与えられたものみたいな印象を持っている人がおおいんでしょうけれども、やっぱり憲法は自分たちのものである。自分たちのもの憲法にすべきである、いう風に思うんですね。その第一段階としてまず、わたしこれ文庫本の憲法の本持ってますけれども、まず憲法読んでみる、ここから始めて頂きたいなあと、103条しかありませんから、簡単に読めます。
八木:はい。

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