このブログを書くのに多用しているMacのPowerBook proのOSシステムをMountain Lion(OSX10.8)から最新のMarvericks(10.9)にバージョンアップしたら、危惧していた通りの不具合が起こった。 iPhoneのカレンダーのデータとの同期ができなくなったのだ。同期はiCloudを経由してやれということらしい。 訳が分からんという人もおられるかも知れないので、少々説明することにする。
iPhoneというのは、ご存知の通り今はやりのスマホ(SmartPhone)である。カレンダーというのは、このiPhoneに装備されているソフトで、日々の予定・行動などを記録するものだ。
このソフトは、マック上にもあって、相互にデータのやり取りができるようになっている。最近では、PCいわゆるWindows上にも載っていて、スマホとマックとウィンドウズなど三者間でデータのやり取りができるようになっている。
このデータのやり取りのことを同期と呼んでいる。同期は基本的にはUSBケーブルを使って行うことになっている。iCloud(アイクラウド)については後に説明する。
ところで、iPhoneが発売されたのは2007年のことだった。以後年を追って機能が充実して現在では、今年秋に発売されたiPhone5Sとなっている。ぼくが使っているのは、昨年にでたiPhone5である。このスマホというのは、iPhoneの以前に長い歴史があるのを知っている人は少ないのではないだろうか。
これはタッチパネルを備えていて、手書き入力で文字を入力する。このシステムはコードネームRosettaと呼ばれる活字体文字認識システムを搭載していた。
ぼくが日本で友達となり、そのあとサンフランシスコ郊外のロス・ガトスの家でホーム・ステーをすることになるラリー・イエガーは、このシステムの開発にかかわっていた。そのことについて、よく話し合ったりした。
よくできたシステムではあったが、まだまだ未完成だったから、このニュートンを使い込むことはなかった。いまも家のどこかにあるのはたしかである。
爪で、タッチしてもよかったが、専用のプラスチックの細いペンがついていた。
下部に空白の手書き入力のエリアがあった。右側部分は数字専用のエリアだった。左側に手書きでアルファベットを入力する。
これはグラフィティと呼ばれるシステムで、アルファベットを簡略化した一筆書きのマークを入力する。
たとえば、「A」は「Λ」、「B」は「β」のように書き込む。大文字小文字の区別やすべての記号は、決められた運筆の約束があったが、覚えてしまえば早い入力が可能だった。チュートリアルとして、練習用のゲームが入っていて、上から文字が爆弾のように降ってくる。大慌てで文字を入力すると、ヒットしたものから消えてゆく。上級になると、小文字、大文字、記号などが一気に降ってくるので大変だった。 PalmPilotはその特許を公開していたから、いろんな会社が製品化していた。ところが、日本のパイロット万年筆がパイロットの名称の特許権を言い出したので、パームパイロットはその名前を単にパーム(Palm)とした。
ぼくが本格的にパームを使いだしたのは、2001年に売り出されたこのパームm505からだったと思われる。これはもうカラー化されており、完成されたPDAとなっていた。その頃になると、WindowsなどのPCのOSもよくなっていて、USBラインでの同期も簡単にできるようになっていた。
ぼくは、せっせとカレンダーデータを入力し同期してデスクトップのカレンダーに蓄えていった。
このことは、ぼくのカレンダーの記録が2001年の11月から始まっていることから分かる。
これらの機種は英語対応だったから、日本語が使えるように日本語へのローカライズが必要だった。しかしローカライズ用のソフトは入手が可能だったので問題はなかった。英語の入力でローマ字変換するのは、パソコンの英語キーボードを使うのと一緒だった。
その後なん年かして、ぼくはパームの機種を変えて、つまりアップグレードしてPalm Tungsten T5に変えた。このタングステンT5はフラッシュメモリーを乗せた高性能のものだった。調べてみたらこの発売が2004年だから、ぼくが変えたのはたぶん2005年頃だったと思う。この頃になると、日本製のPDAも出回ってきて、バームで日本語対応のものが、ソニーから発売されるようになっていた。
これらのものは、日本語の手書き入力や熟語変換が容易に行えるなかなかの優れものではあったが、そうかと言ってそれはやはりコンピュータであったから、そんなには広がらなかった。そして、このソニー製は2005年に発売が終了した。
ぼくはといえば、明らかにソニー製はよくできているとはいっても、やはり日本語に自分でローカライズしたものの方が好きな気がして、やはりパームを使い続けていたわけである。
そしてようやく、iPhoneの発売となる。2007年のことだった。もうコンピュータに関する環境は昔とは比べ物にならぬくらいに整備されてきていた。
iPhoneを買ったぼくが最初にしたことといったら、カレンダーデータの持ち込みだった。カレンダーというのは、これらのPDAの元祖いちばん最初のアップル・ニュートンの時から備えていたものだった。バームの最初の機種では、Schedule(スケジュール)という名前だったが、そのデータ型などは大きく変わらなかったし、持ち込みは可能なはずだった。
なかなか上手くゆかなかったが、いろいろ苦労して試みた末、2001年11月からのデータをすべてiPhoneに持ち込むことができた。
ところが、その後に色々と問題が起こった。同期する際に色々の障害が発生するのだ。
データの同期というのは、両者のデータを見比べて行う。まあいってみればAB二冊のノートを見比べて、両データをともに生かすのか、一方を他方に上書きするのかなどを区別し選択しながらやるわけだ。そういう働きを持ったソフトを作るということである。
ソフトはこの際、当然すべてのデータを拾い上げ、読み取ることになる。iPhoneの開発者たちは、そんな5年も6年も前からのデータを使うような形でソフトを検証している訳ではないので、予期せぬバグが発生することになるのである。
ぼくとしては、元データは自分のパソコンに入っているわけだから、変なことが起こっても慌てる必要はない。アップルのサポートに電話して不具合を告げる。対応する技術の人はいろいろアドバイスしてくれるけれど、そのほとんどはすべにぼくがやったことで、だいたい解決はしないままのことが多かった。
そして、数日から10日後に決まって、マイナーなアップグレードが発表されて、それをやると問題は解決していた。こうゆうことが何度もあったから、「どうやら、わしiPhoneのバグ取りに協力してやってるみたいや」と周りの人たちに話したものだった。
iPhoneはなんどもバージョンが変わるうちに、バグも取れてきたし、時間もたってきたから、もうそんな変なバグは亡くなったようである。
2011年、アップルはiPhone5発売と同時にiCloud(アイクラウド)のサービスを行うことを告げた。これは以前から行われていたMobileMe(モバイルミー)サービスを基本的に無料にするというものだった。
いずれも、iPhone、iPadなどの携帯端末やデスクトップ・ラップトップのマックやウィンドウズなどのパソコンからのデータをインターネット回線を使って、巨大なハードディスクに取り込んで一元管理する。そうすることによって、あらゆる端末からのデータはリアルタイムにアップデートされるし、世界中どこからでも、どのパソコンからでも見ることができるというものだった。
どこからでも見れるということは、一つ間違うと誰からでも見れるということになりかねない。この自分のデータを見るために自分のIDとパスワードが必要である。IDには、メールアドレスを使用する。ということは、このIDはほぼ公開に近い。
だからデータを護るのは、パスワードのみということになる。そういうこともあったからか、アップルはパスワードに英語の大文字を混在させるようにシステムを変えた。
それにしても、このアイクラウドは、なんとも不安な代物なのである。だからぼくは、自動的にアイクラウドにデータを送るような設定は避けてきた。そんなたいした重要データなどないにしても、アイクラウドの利用には禁欲的であった。
だから、カレンダーデータはUSBラインでiPhoneとマックをつないで、手動で行ってきた。
ところが、こんかいマックOSをバージョンアップしたら、これができなくなったのだ。つまり、アイクラウドにデータを送れば、そこから取れるではないかということのようだ。するとこれまでは、ぼくのiPhoneとぼくのマックなりPCの中だけにあったデータは、一気に外に出てしまうことになる。
これまでは、iPhoneとマックをつなぐ時には、iTuneという音声・画像を管理するソフトを使うことになっており、このソフトにはiPhoneのデータ管理用のメニューが入っていた。それがなくなったのである。
このことについて、AppleCareサービス&サポートラインに連絡したら、「少し待っていタッだけますか。上のものに相談してきますから」ということが繰り返されて、次々と2段階上級のサポート員に変わり、約2時間近くたって、スペシャリストという人が現れた。
いろいろ試みた結果、iCloudを使う以外に方法がないことが分かった。それにしてもやはりバグが出たのである。このスペシャリストは、専用のライン番号を教えてくれ、いつでもダイレクトに連絡できることになったのだが、僕はもう連絡をとる気が失せてしまっていた。
どうしたかといえば、家内の使っているデスクトップ(これはOSX10.7)を使って同期をとることにしたのである。そのうちに誰かが、アイクラウドなどを使わなくてもいいソフトを開発してくれると信じて待っているわけである。