オスプレー配備強行であぶり出されるもの

BSイレブンにINsideOUTという番組があって、時々見ていた。冒頭のシーンが、若者が会社の階段を駆け上っていて、そこへ上役とおぼしき男がおりて来て踊り場で出会う。若者は喘ぎながら深く腰を折ってお辞儀する。という分かったような分からんような画面から始まる番組だった。誰かゲストを呼んで話を聞くという政治的なテーマを扱う番組だったと思う。
鈴木宗男が収監される前に呼ばれて、こんな話をしたのを印象的に覚えている。その頃話題になっていたネドベージェフが北方領土を訪問したことについて、鈴木氏はこう言った。
「外務大臣は抗議なんかするからおかしくなる。歓迎の横断幕を持って先に出かけて、よくおいで下さいましたと出迎えたらいいんですよ」外交というのは、そういう柔軟さと懐の深さが必要ということだった。
鈴木宗男氏は、日本の外務省官僚が、共産党を使ってつぶして、塀の中に送り込んだ。小沢さんに関しても、なりふり構わず同じことをしようとしたが、うまく成功しなかったのだろう。とぼくは信じている。

さてその後、この番組はキャスターの顔つきも気に入らなかったのであまり見ることもなくなっていた。
ところが、このINsideOUTに田中宇(さかい)氏が登場することを知り、録画した。田中宇氏とは、ずいぶん前に丹後の宿で夜更けまで語り合ったことがあった。このことについては、この<葉巻のけむり>のTPPで日本はつぶれるで触れた。
INsideOUTのテーマは、「オスプレー配備強行、日米が隠す新事実とは」というものだった。番組はリニューアルされており、キャスターも一新されていた。日本の状況に関して、ぼくが感じ思っていることを明確に語っていると思った。例えば、「日本は民主主義だから自立したい、例えば鳩山さんなんかがそういって政権を作った」などというのがそれで、鳩山・小沢は、意図的に貶める世論形成がマスコミによってでっち上げられているとぼくは思っている。
そんな訳で、この番組の内容を、ここで部分的に抜粋引用することにした。全文はいづれ、<高田直樹ウェブサイトへようこそ>の資料欄にアップする予定だ。

オスプレー配備強行、日米が隠す新事実とは
出席者は、山口一臣(週刊朝日前編集長)、金子秀敏(毎日新聞論説委員)そしてゲストの田中宇(国際情勢解説者)。
田中宇は、ようやく最近テレビに呼ばれることが増えて来たようだ。朝日テレビのモーニングバードなどにも出演している。しかし「朝生」や「たかじんそこまで」などへの出演は、ないようだ。むかししゃべった時に、ああいう番組の出席者はあらかじめ一方的にセレクトされているし、出ても面白くないんです。ぼくは浮いてしまうんですと話していた。

山口一臣:軍事的危機が迫っているようでも無いのにどうして配備を急ぐのか。
田中宇:軍事的危機ではなくて、アメリカの国内に置ける経済効果が大きい。オスプレーというのはきわめて高価なヘリコプターなんです。
しかも工場が全米の各地に広がっていて、ほとんどすべての州が関わっている。各州に一人づつ上院議員下院議員がいて、その人たちはいまアメリカは景気が悪いので景気を良くしたい、そのために一番手っ取り早いのは高い武器を州で作る、すると雇用も生まれてくる。
オスプレーは一機6200万ドル、いま沖縄に配備されているCH46は一機600万ドルだからその10倍以上する。つまり10倍のお金が全米にばらまかれる。
だからアメリカの議員たちがぜひ作ってほしいという。
アメリカの軍の中には、危険だから止めてほしいという声もあるが、それよりも経済利権の方が大きい。そういうものが前提としてあって、アメリカでは来年から軍事費を含む財政削減を強制的に行うことが既に決まっている。
オスプレーはアメリカのお金のかかる10大軍備のベスト5か6に位置する。真っ先に切られてしまうかも知れない。切られる前に配備しなければならない。配備しなければアメリカの雇用も担保できない。だからアメリカの議員は経済効果先にありきで、オスプレーが切られる前に作って日本に配備する、それも今年中にやらねばならない。
軍事的なもの、防衛的なものというより金なんです。アメリカ国内の経済効果なんです。
さらに、今年に11月にアメリカ大統領選挙があり、オバマは軍の言った通りにする、軍というのは共和党寄りだが、オバマは共和党ではなく民主党であるだけに、よそ者であり、ある程度軍の言った通りにしますよという関係が出来ていて、オバマが大統領をやっている間に配備したい。ロムニーは軍産複合体とは近いのだけれど、軍の中には反対派もいるからどうなるか分からない。ともかくオバマがいるうちに、全米各州にとって金のなる木のオスプレー配備をやりたい。

山口一臣:オスプレーはかなり古い時代から開発がスタートしていて、一番活発になったのが、1980年代レーガン政権のとき、そのとき巨額の開発費が投じられたと聞いています。
田中宇:レーガンは軍産複合体に、金を雨霰のように使って下さいということで、冷戦が終わるということがほぼレーガン政権の時に確定しつつあった。ニクソンが訪中して中国は敵じゃない、ソ連は経済的に弱ってる、だから冷戦は終わりなんだ、終わりなんだから早く値段の高いものを作って軍産複合体は儲けないけまへんということで、急いでやったんです。アメリカの軍事の歴史ってみんなそうなんです。金なんですよ。

山口一臣:野田首相は安全が確認されるまでは飛行はさせないと言っている。米軍側は10月の運用開始は決定事項である、スケジュールは変えないと言っている。飛行訓練というあのオレンジルートとかをみると日本中をオスプレーが飛び回るみたいに見えるんですが。
田中宇:オスプレーは規格として、地上100メートルとか50メートルを飛んでもいいことになっている。低いところを飛んだ方が敵のレータに映らないから試験飛行とか訓練飛行では出来るだけ低いところを飛ぶ。しかも谷の中を飛ぶ。谷の中を飛ぶのは普通の飛行の時は禁じられている。谷の中には索条やケーブルや電線などがあり、これを切ってしまうからです。
オスプレーが本土を飛ぶということは、本土の人が沖縄とかアフガニスタンの人々が感じてるように、米軍のヘリコプターが非常に低空で飛んで来て、非常に危険であるということを知ることだと思うんです。
これまでは、沖縄の人は非常にひどい目に遭っている、沖縄の人は島をあげて反対だけれど本土の人はあんまり反対じゃない、岩国市民とかをのぞいて、それが今回オスプレーが全国で訓練飛行することによって、少し変な言い方ですけど、オスプレーや米軍のひどさというものを、日本全体の人たちが知ることによって、日本の民主主義が機能することによって、沖縄県民だけががんばっても駄目な訳で、米軍の人がいつもいうのは、おたくの国は民主主義なんだから米軍に文句いわないで政権替えればいいじゃないか、アメリカ嫌いだ出て行ってくれと国会で決議すれば2時間で終わるよ、フィリピンや中央アジアの国は2時間で決議したんだと。
日本が出来ないのは、おそらく本土の人が反対してないからだが、これは今後訓練飛行やってどんなにひどいものかということが分かってくれば日本全体の世論が変わるかも知れないですね。

山口一臣:野田政権は、もちろん自民党政権からなんですけど、アメリカの言いなりではないかと、今回のオスプレーの問題についても、配備はアメリカ政府の方針でどうのこうのいう立場にないと。
田中宇:それは、むかしから日本はアメリカの言いなりだったんですけれど、アメリカの方に余裕があって、いろいろ水面下で交渉して、日本の国内で反対論が強ければ延期したりいろいろやっていたが、それが軍産複合体と財政緊縮派とがぐじゃぐじゃになってる、そんな中で弱い部分である日本に対してお前のところに配備しろ、絶対やれといわれたら、日本はやらざるを得ない。
そういう風に弱くなって来て、ぐじゃぐじゃになって来て、日本にしわ寄せが来るが故に、日本の首相がまるで傀儡のような、むかしから傀儡だったけど、もっとスマートにやってた。それがアメリカの事情でスマートにやれなくなってまるで傀儡のように見えてしまう。それは野田さんのキャラクターではなくていまの時代を示しているんです。

山口一臣:気になるのは、野田首相は安全が確認されなければ飛行はさせないと言っていて、森本さんは8月3日から5日にかけて訪米して、向こうで乗ってみる、それで安全でしたという結論ありきの話なんですけれど。
最近も事故が起きているし、人々が不安に思うのは仕方がない。アメリカでも反対運動が起きているらしいですね。どういうことなんですか。
田中宇:基地の周りにいる人が不安を訴えて、出来るだけ飛ばないようにしてほしいとか、アメリカの場合それは有権者ですから、そうするとちゃんとした対応をするんです。日本人はアメリカの有権者じゃないので無視する。アメリカでは、飛ぶなと言ったら訓練を中止したりします。
山口一臣:ということは、米軍はアメリカ人の言うことなら聞く。
田中宇:もちろんそうです。日本国が国家として止めてくれと言えばいいんだけど、それは出来ないんですよね。
要するに、日本の側としてオスプレーを配備してほしい、米軍はいてほしい。在日米軍がいるということが、日本がアメリカと同盟関係を結んでいる、アメリカは同盟関係が結ばれて何がいいかというと、アメリカの言ってることを聞かなければいけませんよという人たちが官僚の中にいて、それが政治家の人たちが、日本は民主主義だから自立したい、例えば鳩山さんなんかがそういって政権を作った、そういった時に官僚の方が、アメリカがいってんだからどうしようもないだろうということで、日本はアメリカがなけりゃ動かないんだと、これがもし米軍がいなかったら、いやいや日本は米軍がいなくても動きますよということが証明されてしまう。
そうなると政治家が力を持つ、でもほんとは政治家が力を持つのが民主主義なんですよ。日本はだから民主主義じゃなくて官僚独裁なんです。誰が議員になろうが、誰が首相になろうが、アメリカの言ってることを聞かなければならない。
アメリカの言ってることが、誰にとって得かといえば外務省とかそういうところに得である。そういう官僚独裁の道具としてオスプレーが使われている。そこにアメリカの軍産複合体が乗って来て、今年中に配備しなければいけないみたいな話になっている。
もう一点日本でよくいわれるのは、中国が脅威だから配備しないといけない。ところが中国という国は、米国債を世界で一番持ってる国なんです。オスプレーみたいなものを作れば作るほど赤字が増えて中国に国債持ってもらわねばならない。中国が米国債を売り払えばアメリカの金利が上昇して財政破綻してしまう。むしろ中国がアメリカに勝とうと思ったら、空母を作るということよりも米国債を売ると、それもうやってると思う。アメリカは中国にかなわないんです。
オスプレーを配備しようが、なにをしようが、アメリカが本気になって中国と戦うなんてことはあり得ない訳なんです。米国債持ってもらってるんだから。
その時点でオスプレーだとか普天間だとか沖縄の基地の有用性を説いてる日本の側のいわゆる知識人というかそういう人たちというのは、茶番を言ってるに過ぎない。
そこにおいて、日本の側の日本の権力機構である官僚機構が自分たちの権力を守る為に沖縄には基地が必要だと、でもそれを言うと、なんだ官僚独裁なのかと国民にばれちゃうから中国の脅威だとか言ってるに過ぎない。


山口一臣:霞ヶ関の力の源泉となるものがいくつかあるじゃないですか。物理的には、権力というものがありますが、その一つがアメリカの威を借るということですね、アメリカの意向を背景にいろんなことをしようとする、その典型みたいに見えてくる。
田中宇:戦前は、天皇制があってそれは強かった。その戦前の天皇制に代るものとしてアメリカの権力というものが出て来て、だからお上だから言うこと聞かなければいけないと、まだ全然変わってない、そういう意味で。天皇制がアメリカに代っただけであって、日本の政治システムは変わってない。
山口一臣:野田政権は私の目から見てもアメリカからいわれたことを次々に受け入れている、TPPもそうですけれど。いったい今の政権は誰を向いて仕事をしているのかと。
田中宇:却って、日本が対米従属アメリカべったりだということが、みんなに分かっていいんじゃないですか。分かった以上、次の政権その次の政権、ちゃんとやれよと、出来ないのかよという話になっていいんじゃないんですかね。本当に日本人にとって何がいいんだという話になって。