古市憲寿という若者にみる国家観の欠如

先日、敗戦記念日のプライムニュースで「終戦の日に考える、いまの若者の戦争観」という番組を見た。
3人のゲストの内の一人の大学の先生は、若いとはいってもとても若者とはいえない人だった。二人の若者の一人は、古市憲寿という優しい感じで、どう考えても肉食系には見えない男子で、もう一人は山本みずきさんという賢そうな美人の女子大学生だった。

Furuichi古市くんは、朝生に出ているのを見ていたから、知っていた。田原総一郎が可愛がっているみたいだったからそう思ったのかもしれないが、すこし気になるところがあった。世界の戦争博物館を回って『誰も戦争を教えてくれなかった』という本を書いた人という紹介だったのだが、世界を回ってきたという感じがなくて、なんか日本各地の美術館巡りをしてきたみたいな感じを受けたのだ。誰も戦争を教えてくれないのなら、自分で調べたらいいではないか。小・中生じゃあるまいに甘えたタイトルだなと思った。肩書きは東京大学総合文化研究科博士課程だった。

Yamamoto山本みずきさんは、どこかで見たことがあると思ったら、この前の京都竹田研究会で冒頭に、たしか弁論大会で優勝した女子大学生とかの特別の紹介があって、短いスピーチをした人であることに気付いた。彼女は慶応義塾大学法学部学生で、竹田先生の教えを受けようと大学を選んだのに、先生は大学院の先生で教えを受けられないので、この研究会に入りましたなどと話していたことを思い出した。

朝生の時もそうだったのだけれど、なんかことさらに韓国を擁護するようなところがあったのだが、ここでも同じ感じだった。例のサッカーの試合の時に、彼は現場にいたそうなのだが、たいしたことはなかった。そばにいた韓国人たちもスマホを触っていて気にも留めていなかったというので、キャスターの反町さんが、安重根の垂れ幕を出した時はと尋ねると、すぐに引っ込めましたと答えた。もう一人のキャスター八木亜希子さんが、そんなに直ぐに引っ込められるんですかと突っ込むと、そうです、ブーイングが起こったくらいでした。反町さんは、もっとしっかり出せという意味でですか。そうですという答えだった。

Questionnaireぼくが、決定的におかしいと思ったのは、日本が「外国から侵略された場合の態度」というアンケートの結果の話になった時だった。
古市くんは、このアンケートの結果について、極めて納得できる結果だと分析した。
ここで、3人目のゲストの萱野稔人先生が「古市さんだったらどれを選びますか」と尋ねた。
「ぼくは、ええっとですね、逃げるというのはどれですか」と笑いながら答え、
全員が、「逃げる?!」と驚きの声を上げた。この項目のどれに当てはまるのかと考えているとき、たぶん萱野先生だと思うのだが、「どこに逃げるんですか」と尋ねた。

Panel古市くんはそれには答えず、「同じような調査があるんですが・・・」とパネルを示した。
この国際調査結果で、日本の低さは納得できるとした。
「国家とか国体とか、自分の個人の命より大事なものってなかなかないと思うんですね。つまり自分の命まで犠牲にして戦うんだったら個人の命を大事にする。これってある種の成熟した国の国民の対応として・・・」
反町さんが「中国・アメリカは成熟していない?」と話を遮った。「そういう面もあると思います」と古市。
「アメリカはずっと戦争している国だから、そういうことになるのかとぼくは思ったんですけど」と反町さんが話をリードした。
それで、結局「どこに逃げるのか」という質問の答えはなかった。
この辺りの稿を起こしていて、面白いことに気付いた。プライムニュースのすべては、YouTubeにアップされているのだが、ぼくの録画と違っているのだ。
少し前の「古市さんだったらどれを選びますか」という質問は、ぼくの録画では、明らかに萱野先生が最初に質問しているのだが、YouTubeでは、この部分がカットされていて、八木キャスターの再度の質問だけになっている。明らかな編集が行われていた。テレビ画面とラップトップの画面を見比べながら、原稿に起こしていたから気付いたことだった。

「たぶん国の為に戦うということは選ばないと思います」と古市くんはいい、逆に、「どうですか。戦いますか?」と反町さんに訊いた。
自分に守るものがある、それを守るためならぼくは行きます。反町さんはそう答えた。そして、チベットの焼身自殺の例を挙げると、古市くんはこういった。
「本当にひどい侵略を受けた場合、例えばある会社に所属している人にとって、その会社が残ることと国が残ることとどっちが大事かというと、たぶん会社だと思うんです。だからあなたの会社を護ってあげるからこっちの国に統治されないかといったときに、けっこう微妙に迷う人が多いと思うんですよね」
反町さんが、斜めに視線を固定して「会社という単位と国という単位と比較になるんですか」と問うた。
「自分が所属している単位ですよね。もちろん国家が大事だと思う人もいると思います。でももしかしたら国家という単位よりも自分が所属する会社であるとか地域であるとかこのエリアを保護するからというバータで・・・」

「ちょっといいですか」と、山本さんが口を挟んだ。「国家があるからこそ会社があるんじゃないんですか?」
反町さんが、そうだそうだという顔をして「どうですか?」といった。
「それって、グローバル企業の場合、グローバル企業に勤めている人の場合、会社の利益と国家の利益とどっちが大事かといえば、会社の方が大事だと答える人の方が多いと思うんですね」
反町さんは「なるほど」と答えながら、少々あきれた風に見えた。八木さんキャスターが「山本さんは?」と話を振った。
山本さんの考えは、まことに見事という他はなかった。
「いまの話を聞いていて思ったんですが、これを家族の話に置き換えると非常に分かり易いと思うんです。たとえば、もし自分の子供が目の前で殺されかけてるという時に、そこに武器があるなら包丁を持ってでも木刀を持ってでも子供を助けるというのが親のあるべき姿ですよね。国家もそうあるべきだと私は思っていて、自分の命が危険にさらされていて、それを見て見ぬ振りをする国なんかに私は住みたくありませんし、安心して暮らせる国に住みたいと思うんですね。そのためにはやはり自衛隊は必要不可欠であって、日本の国の為にも尽力してくれている、だから私は自衛隊というのは非常に重要なところだと思うんですね」

この山本さんの発言に対して、古市くんは「この人おかしいですね。自衛隊がちゃんとしてるんだったら自衛隊を国民が支援しなくてもちゃんとたたかってくれるはずで、この質問自体が・・・」
反町さんが「例えばいまの法体系を見ると、有事があった場合にはいろんな形で国民に協力を求めるという法体系になってますから・・・」といい、さらに
「お話を伺っているとね。自分の家族を護る、コミュニティを護る、そこからたぶん企業に行かず、コミュニティから例えば郷土である、国であるという風に自分の所属する社会をどれほどいとおしく思うか護るかというところから愛国心とか国を守るために身体を張るかという話になってると思うんですけれど、その延長線上で国に行かないというのは、いまの政府に対する信頼感の希薄さかなあと思うんですけれど、この政府の為に身体を張るつもりはないよぼくは、そういう意味でもありますか?」
「それはありますよね。国家は国とは違うと思う。国家の希薄というのは日本の特徴だと思うんですね。やっぱり人工国家という気もないし、やっぱり何となく国家というものがあるというのが大きいと思います」
「ぼくの個人的な意見ですけれど、自分の命だとか自分の大切な人の命よりも大事なものはないと思うんですね。それより国家は上位には来ない。もちろん国家の軍隊を否定するものではありません。国家があるから軍隊があるから安全保障が保たれているとは思います。ただそれは人々の命を犠牲にしてまで守るものではないと思います」

反町「自衛隊に関してはどう思います」
古市「自衛隊は必要だと思います。」
反町「それ何を守るために必要なんです」
古市「日本という国の安全保障ですよね。だから、警備会社と大きく変わらないという印象が正直あります」
反町「そういう、いまの話だったら別に自衛隊がなくとも・・・」
古市「自衛隊じゃなくて、グローバル警備会社なり・・・」

この辺で、ぼくはもうぶち切れそうになっていた。なんという男なんだろう。この男の話を詳しく原稿に起こす必要なんかないと、そう思った。
このあと、古市くんは戦闘による死亡率が、部族社会と国家を比べると部族社会の方が圧倒的に高いという。国家になって軍隊が出来た方が死亡率が減ったと述べる。部族社会と国家とを比較することがどんな意味があるのか分からない。この若者の頭の構造がどうなっているのが分からなくなってきた。
愛国心の年齢による変移が示されて愛国心の話になった。山本さんがGHQの考えによって、誇りを持てるような歴史教育が行えなくされた、日本が素晴らしいという部分はすべて削らされた。教えていけないとされた部分を復活させる必要を述べた。
その一例として、自分が高校生に行った調査の結果を例示した。
100人の高校生のうち日本の建国の年代を正確に答えられたのはたったの2人だった。全く答えられない人が50人いたという。彼女は、愛国心の欠如は戦後教育の必然の結果だと唱えた。
きゅうに、古市くんが「日本はいつ建国したんですか?」と尋ね、山本さんは「私は、紀元前660年」というと、古市くんは「ふふふふふ」と笑った。「皇紀に基づいた話ですね」と反町さんがいうと山本さんは「そうですね」ときっぱり言った。
反町さんから「どうですか」と尋ねられて、古市くんは「でも、日本国が出来たのは1945年、もしくは1946年の憲法制定・・」

もうぼくは、完全にぶち切れてしまった。なんという野郎だ。信じられない思いだった。
山本さんは、真面目に説明した。『古事記』は正史であると。個人が勝手に書いたものではなく政府が編纂を命じたものだから正史なのだ。そういうことを若者が知らないのが問題だ。すると古市はあれは神話だと反論した。「神話を国家の起源としている国がどれくらいあるんでしょうね」と。
山本さんは、『古事記』が編まれる前から、古墳が多く出来ていたし、それは国家の成立を示すものだと説いた。
ここで、古市は面白いことを言った。
「多くの国は、独立か革命によって国家の理念を作ったことが多いですよね。日本は革命というものを経験していないことになっている。そういうことが欠落していることが、こういうもやーとした国家みたいなものにつながっているのかなと思います」

「日本人の誇りとか、日本人として、ということについてはどういう風に?」と八木さんは、古市くんに訊いた。
「治安の良さとか平和意識とかは大変高いですね。平和ということが右も左もイデオロギーを越えて共通して護るべきものとなるとは思います」
「外国の人たちは、王室皇室を持っている国に対して特別の敬意を持つことが多いんですが、そういうものを持っていることが日本の誇りになるという議論についてはどう思います」と反町さんが質問した。
「持っていてラッキーだと思います。つまり、たまたま持っていることによって外交儀礼上も得をすることが多い。皇室外交を行うことも出来る。これは大切な資産だと思います」
「それでは、日本人でよかったなあと。ラッキーだというのは損得の話になっちゃいますよね」
「まあ、誇りという面で語ってもいいんですけど、合理的に考えてみたらラッキーだと思います。別に誇りを持っていない訳ではないです」
話がバラバラではないか。何が合理的なんだ。古墳も『古事記』も否定し、革命が必要だったようなことをいい、ラッキーだった、そして誇りを持っていない訳ではない。この人は一体何をしゃべっているのだろう。

この若者を育てた親の顔が見たいと思った。教えた大学の教師が誰かも知りたいと思った。
いままでどんなライフ・ヒストリーを生きてきたのだろう。そういう興味もわいた。
和也くんはKAZUYA_CHANNELで、早速「古市憲寿公開処刑場と化したBSフジのプライムニュース」というタイトルで取り上げている。古市憲寿公開処刑場と化したBSフジのプライムニュース
またニコ動では、罵詈雑言の嵐だった。

彼のこと調べてみて、なるほどと思うことが多々あったのだが、それらについては、次稿にしようと思っている。

【参考プライムニュース動画】
若者たちに聞く戦争観(前編)
若者たちに聞く戦争観(後編)