案じられる後藤さんの命(無人攻撃機に殺られる)

 ISIL(イスラム国)とヨルダン政府との人質交換交渉は進展のないまま推移しています。
 ISILからの最後の文書と音声による通告で場所(トルコ国境)と日限(日没)と指定された時、ほとんど絶望的になったのですが、その後なんの連絡もないまま推移し、安堵の胸をなで下ろしました。
 ISILのサジダ・リシャウィ死刑囚の解放に対する後藤さんの解放を伝え、従わない時にはパイロットのムアズ・カサースベ氏をまず殺害し次いで後藤氏を殺害すると伝えました。追いつめられたヨルダンは、サジダ・リシャウィ死刑囚は解放するとしましたが、その前にムアズ・カサーズ氏の生存確認が必要だと対応しました。
 その答えがないまま、時間が経っています。
 かりにパイロット・ムアーズの生存が確認されたとしても、ISILはムアーズを返すとはいっておらず、殺さないとしているだけだから、後藤氏だけが解放され、ムアーズ氏が還ってこないのでは、ヨルダンは納得のしようがない。

 前例に従えば、ムアーズ氏はとっくに殺害されることになります。ISILはそのように厳格にいったことを実行してきました。今回の推移はすべて異例ずくめと言えます。
 じつに多くの疑問が生じます。
 まず、なぜムアーズ氏の生存を示さないのだろうか。すでになくなっていて示せない。あるいは、意図的に示さないで、その家族を脅迫して、死刑囚の解放を迫らせ国内的に騒動を起こさせる。この手法は常套手段で、後藤氏の奥さんも同じようにメッセージを発信させられました。
 ムアーズ氏がすでに処刑されていたり、拷問などによって死亡したなどということは考えにくい。もしなくなっているとしたら米軍の空爆の巻き添えでやられた可能性が高いのではないか。そんな気がするのです。アメリカのケリー国務長官は、イスラム国の6000人を殺したと言明しています。この無人攻撃機について、少し詳しく説明してみましょう。

無人攻撃機・ドローン

無人攻撃機・ドローン
バク・パイプの低音部で、プロペラ音からの命名

 爆撃と言えば空爆で爆弾投下のように聞こえますが、そうではありません。無人攻撃機の空対地ミサイルなのです。マスコミでは、無人偵察機ということが多いようですが、そんなものではなく無人攻撃機なのです。それはいわゆるドローンと呼ばれる無人攻撃機です。地球の裏側のアメリカから、宇宙衛星を介して操縦されます。強力なミサイルを搭載しています。

プレデター

プレデター、160機を保有

 アメリカ空軍は、このプレデターを160機以上保有しています。
 無人攻撃機は、時速400kmで飛行し、高度15000mを維持できるので、高射砲で捕捉することはできません。さらに注目すべきはその滞空時間の長さです。普通の戦闘機の5倍、20時間飛び続けることができます。

ドローン搭載レーザー誘導ミサイル

ドローン搭載レーザー誘導ミサイル


 レーザー誘導ミサイルは、母機から目標にに向かって照射されたレーザーに沿って進み、命中します。遠隔操作は2名のペアで行われ、一人は操縦と射撃、もう一人はカメラの操作とレーザー照射を担当します。

 


 
MQ−9リーパー 改良型ドローン、別名「死神の鎌」とよばれる。

MQ−9リーパー
改良型ドローン、別名「死神の鎌」とよばれる。


 MQ-9リーパーは、MQ−1ドローンのレシプロエンジンからターボプロップに変わり、巡航速度は3倍となった。
 機体は大型化し、翼幅は25.6mとなりました。
 少なくとも100機を保有しています。




リーパー搭載ミサイル

リーパー搭載ミサイル


 
 搭載ミサイルは、より大型のものが付け加えられている。








喉元にはカメラ部がある

喉元にはカメラ部がある




 喉元にはカメラ部がある。




三つのカメラが装置されている

三つのカメラが装置されている






 三個のレンズは、それぞれ、赤外線カメラ、広角レンズ、ズームレンズ。赤外線カメラによって、夜間でも目視が可能となる。
 これらに捕捉されると、ほぼ逃れることは無理と言える。



 
ニューメキシコ州のホロマン空軍基地

ニューメキシコ州のホロマン空軍基地



 ここで、操縦士の養成と訓練が行われている。訓練と言ってもそれは、操縦ではなく、正にゲーム機のコントロールであり、ゲーム感覚の飛行とシューティングなのです。
 現在、2013年の時点で、686人の操縦士が養成されたとされる。

アメリカ合衆国の無人攻撃機基地

アメリカ合衆国の無人攻撃機基地



 アメリカ合衆国内には、このような多数の無人攻撃機基地が存在し、昼夜を分たぬオペレーションが行われています。






操縦室とはいえ、それは機内ではなく、カラオケボックスのような箱形のものである。

操縦室とはいえ、それは機内ではなく、カラオケボックスのような箱形のものである。


 実際のところ、無人攻撃機の作戦は存在しないことになっているようです。正直言って、あまり誇れる攻撃ではないからなのでしょう。まことに気分の悪い話です。







 ブッシュは対テロ戦争を唱え、多くのテロリストを捉え、国際法のジュネーブ協定の及ばないアルグレイブやグアンタナモの収容所で異常ともいえる拷問を行いました。この事実が暴露され、世界の批判を浴びたのです。
 オバマは、これにこりて、捕獲せずに殺すという方法を採択したのです。これが無人攻撃機の戦術です。
 カーニー報道官によれば、「無人攻撃機は、敵の攻撃を未然に防ぎ、アメリカ人の命を守ります。合法的で道理にかなったものです」という訳です。CIAには殺害者のリスト(KILLER LIST)があり、殺害すべきテロリストがリストアップされています。
 無人機攻撃はブッシュのときの49回に対し、オバマになって395回となりました。
 
 無人攻撃機による攻撃は不可避的に誤爆を伴います。たとえばじっさいにあった話なのですが、長期間の偵察によってターゲットを確定し、夜間に攻撃した際、ミサイルの破片が隣家に飛び、少女を死亡させたのです。アフガンでは誤爆による死者は1000人を越えています。
 2014年8月のイラク空爆開始ともに無人機攻撃は増えました。
 そして、ISILへの攻撃になって、この誤爆に対するためらいは消えたようなのです。疑わしければ射て、という訳です。シリアへの攻撃は1700回を越えたとされます。1月21日、オバマは一般教書演説で、口先だけだともいわれていますが、ISILを殲滅すると述べました。
 後藤さんは、ISILによって殺されることは、いまやないと思います。しかし、トルコの秘密の場所にでも移されない限り、アメリカの無人攻撃機の誤爆によって殺される確率は大変大きいとぼくは考えています。

 無人攻撃機の話ばかりになりました。話を戻しましょう。よくいわれる疑問の一つにISILはなぜそれほどまでサジダ・リシャウィ死刑囚に執着するのかというのがあります。ISILの狙いは、とても受けられない条件を示して揺さぶり、国内を分断混乱させる狙いではないかと思います。ヨルダンには多くのISILシンパ分子や集団が存在し、混乱を起こせば領土を広げることができるからです。
 人質交換の場所としてなぜトルコ国境が選ばれたのでしょうか。それはISILが安心できる場所はトルコしかないからです。ISILの兵員が出入りするのはトルコですし、油を売るのもトルコ経由です。トルコには仲買人が多くいるといいます。ISILの兵員訓練所があるともいわれています。

これが報道の自由で許されるのか!

これが報道の自由で許されるのか!

 ISIL関連のニュースに限らず、イスラム関係の報道は、多かれ少なかれアメリカ・西欧のバイアスのかかったものだと考える必要があると思うのです。ゆがめられているだけではなく、報道されないことも多いのです。
 たとえば、話しが飛ぶかもしれませんが、先日のパリのシャルル・エブド襲撃テロの報道です。「報道の自由」が喧伝され3万人デモが大きく報じられました。このシャルル・エブド誌の絵を見てください。これが報道の自由でしょうか。
 知らなかったとはいえ、単純に、「I am KENNJI」などと言うべきではない。茂木健一郎先生ももう少し脳を使って考えて、おなじ言うなら「I am Japanese KENNJI」いって欲しかったと思うのです。

 とにかく後藤さんの命は無人攻撃機の危険に晒されています。ほんとに気掛かりです。早い帰還を祈るばかりです。突如、トルコの全く予期せぬ場所にひょっこり現れる。そんな結末を夢見ています。