『風立ちぬ』を見て

PosterOrg「風立ちぬ」を見ました。
なるほど、これではベネチア国際映画祭で賞が取れなかったのも当然と納得できました。「千と千尋の神隠し」を見た時は、これは賞を取るだけのことはあると思いました。
昔はそうでもなかったのですが、いつほどからか、彼の作品はどうもしっくり来ないと感じ始めるようになっていたのです。どうしてなのか分からなかったのですが、数年前からたぶん3.11の後ぐらいから、その原因が分かってきたのです。
彼の映画には、日本がないのです。たしかにそこに描かれる自然は日本の山の風景です。それは、ぼくの瞼にはっきりと残っている北アルプスの黒部五郎岳と薬師岳の間の高原状の上の岳周辺の風景だったりして、なんとも引き込まれそうに感じたりしたものです。
しかしその自然描写は別にして、登場人物は日本人ではなくて国籍不明です。彼の作品の登場人物は形は日本人だけれど、国籍不明の地球人ともおぼしきものたちで、まあその辺が外国人にも受け入れ易かったのかもしれません。
「千と千尋」の風呂屋にしても、あれは日本というよりチャイナみたいです。
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『終戦のエンペラー』を観て

『終戦のエンペラー』を観た。
観るまでは、どうせハリウッド映画だから、どうせ大したもんではないと思っていた。『硫黄島からの手紙』や『父親たちの星条旗』『トラ・トラ・トラ』『戦場に架ける橋』などなど、大東亜戦争がらみの映画はどうも心底楽しめない。最近特にその傾向が強まったように思っていた。
だいたいその題名「終戦のエンペラー」が気になった。エンペラーというのは皇帝のことで、天皇は皇帝ではない。全く違う。皇帝には絶対的な権力があるが、天皇には絶対的権威はあっても権力はない。
天皇は天皇なので、英語では「TEN-NOU」であるべきではないか。
などと考えたりしていたのだが、題名からいちゃもんをつけてもしかたないなと映画館に向かった。そして、この『終戦のエンペラー』には、つい引き込まれて見終わったのだった。ある感動さえ覚えていた。
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『女警部ジュリーレスコー』

再び「女警部ジュリー・レスコー」の放映が始まった。
ほとんどがハリウッド製と韓国製で埋め尽くされたCS放送の外国ドラマの中で、数少ないフランスのドラマだった。
このAXNミステリーチャンネルの番組は、昨年に92回の最終回をもって終わっていた。
耳に優しいフランス語の響きも懐かしく楽しみに見ていたが、いつか家内も一緒に楽しむようになった。
普通の刑事もの・警察ものは残虐な場面やストーリーが多く、例えば性犯罪特捜班、これはアメリカの現況を知るのには最適と思っていつも見ているのだが、家内は絶対に見ようとしない。気分が悪くなるという。

最初のレスコー

最初のレスコー

パリでのレスコー

パリでのレスコー

「ジュリーレスコー」が、フランスでゴールデンアワーの夜8時の放映で、19年もの長寿番組だったのも理解できた。この長い年月で役者、例えばシングルマザー、レスコーの2人の娘の上のサラも、小学生から成長してゆき就職して弁護士になる。この間レスコーは当然サラも同じ俳優がずっと演じているから、子役のサラは弁護士のサラとなる。この辺りは、「北の国から」のような、ドラマと知りつつもあるリアル感があって、引き込まれてしまうようだ。
それにしても、19年も続いて92回とは少なすぎるとも思えたのだが、調べてみて一ヶ月一回の放映だったことが分かった。
レスコーフェース2フランスでの原題は単純に「JULIE LESCAUT」なのだが、日本でのタイトル名は「女警部ジュリーレスコー」。しかし、内容からしても、警部ではなく警視であることが分かる。舞台は、パリ近郊のクリエール署という架空の場所なのだが、後半77話からレスコーはパリの中心部の署へ移動になった。


レスコー拳銃レスコー拳銃2今回の再放送は、AXNミステリーチャンネルで水土日の三回同じものが放映されている。ぼくは、92話のすべてをDVDに収めて、すべて見ているのだけれど、今回の再放送も機会があれば適当に見ようと思っている。
このタイトルは、一話一枚でDVD化されているようで、レンタル店にあるかどうかは知らないけれど、オークションでは300〜500円で取引されているようである。
「もうあのジュリーレスコーみたいな番組はないの?」と、家内が聞いたことがあった。韓流なんぞは見る気にもならないし、ほんとに見たいドラマがないようだ。
再放送のレスコーを見ていたら、来月から始まる新番組の予告があった。
「モンタルバーノ〜シチリアの人情刑事〜」というもので、これはイタリアもので舞台はシチリア。サイトを見ると、
「ヨーロッパを中心に絶大な人気を誇るテレビシリーズ、日本独占初放送!イタリア・シチリアを舞台に、人情味あふれるモンタルバーノ刑事の活躍を描く」などというイントロで、「モンタルバーノ~シチリアの人情刑事~」は、シチリアのヴィガータという架空の町が舞台となっている。カミッレーリ自身(原作者 アンドレア・カミッレーリ)の出身地シチリアにあるポルト・エンペードクレがモデルになっているとも言われ、本編に映し出される美しい景色は思わず目を奪われる。ロケは、ヴィスコンティの映画「山猫」の舞台にもなったドンナフガータや、世界遺産でもあるラグーザ付近で行われ、現地ではロケ地巡りツアーが開催されていたほどだ・・・。などという説明もある。
大いに期待が持てそうで、大変楽しみにしている所である。

『ローマの休日』を観る

ほんとに何十年ぶりかに『ローマの休日』を観た。
昔大好きだった映画をよりきれいな映像でDVDに収めようと考え、DVDを作る途中で映画鑑賞に入り込んでしまったというわけである。
好きな映画、残しておきたいドキュメンタリー、サッカーの試合などのDVDは、数えてはいないけれど、3000枚は確実に超えたと思われる。
「自分でも二度と見ないでしょう。誰も見ないものを作ってどうするの!」という家内の言葉を背に受けながら、せっせと録画ダビングに精を出しているわけだ。

仕事をやめるずっと前から、VHSビデオによるテレビの録画をやっていた。
ビデオテープからDVDに替わったので、録画媒体はDVD-Rとなった。
テレビの映像の場合、WOWOWとNHKなどは別としてすべてコマーシャルが挟まっている。これを含んだままの映像というのは、どうもぼくにとっては気色悪いと感じた。
最初の頃は、コマーシャルが始まるとすかさず、一時停止して録画画像から除くという難しい作業をやっていた。
まもなくDVDレコーダーなるハードが発売される様になると、まずこ内蔵のハードディスクに予約録画し編集した後に、DVDに焼き付けるということになった。
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映画「蜂蜜」を観る
















録画してあった映画『蜂蜜』を観た。
賞を取った映画という以外には全く予備知識がなかった。

このトルコ映画は森のシーンから始まる。
どこか遠くの谷川の水音が聞こえて来る。鳥のさえずりが聞こえる。ピーという鹿の鳴き声も聞こえる。
木々にたゆたう木洩れ日のゆらめき。幽玄な森の中に遠くからロバの蹄の音がちかづいてくるようだ。
こうした自然の音の世界からこの映画は始まる。この悠然とした情景に引き込まれてしまった。


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