ギルギットの騒動について

ギルギット・セレナホテル

ギルギットやその奥のフンザで足止めを喰らっていた日本の旅行者は、無事帰国したようだ。
ギルギットで宗教対立が激化し、外出禁止令がしかれたという。そのため、日本人旅行者は素敵なホテル、ギルギット・セレナに足止めされたらしい。
そこからフンザ河の上流50kmのフンザ(カリマバード)は、まったく影響はなかったはずだ。なぜならフンザは、シーアやスンニ派ではなく、イスマイリー派というシーアよりもっとマイナーな宗派の本山である。
このイスマイリー派は、大変フリーな宗派で、女性はブルカをかぶる必要はなく、お酒も飲んでもいい。形式ではなく心根だという教理である。
フンザには、葡萄や桑の実が取れるので、たやすくお酒が出来るのだ。ウルドー語ではお酒のことを「シャラーブ」というが、フンザでは「フンザパニー」つまりフンザの水という。

ギルギット川に架かる1950年代からの吊り橋

それはともかく、このギルギットの宗派対立というニュースを聞いたとき、なんともいえぬ違和感をぼくは覚えた。
かなりのパキスタン通を自認し、あちらではアダームスリム(半分回教徒)といわれるぼくは、パキスタンで宗教対立などという現象を実感したことは全くなかったからである。
たしかに、テロはかなり頻繁に発生していると言える。しかし、それは宗教対立が原因ではない。反米であったり反政府であったりの行動であると思う。それが、こともあろうにギルギットで起こるとは。
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