大津市の中学校いじめ自殺事件でマスコミが大騒ぎをしているようです。確かにけっこうショッキングな内容で、マスコミのみならず、インターネット上でも情報が飛び交っています。少し熱中してインターネットサーフィン(この言い回しって古い?)してました。
ほとんど条件反射的な情動に駆られたいいたい放題の悪態メーセージは論外として、たとえば「大津市中学生いじめ事件「自殺の練習」の衝撃―Twitter上で共感を呼んだツイート集」などに取り上げられているツイートなどは、けっこう納得できるものが多々ありました。Twitter上で共感を呼んだツイート集
特に記憶に残ったのが二つありました。
「絶対にミスが許されないプロジェクトは、絶対にミスが報告されないプロジェクトになる」
もうひとつは、「いじめられたら、その人の顔写真その他の情報を記録しておいて、就活時期にインターネット上で暴露しましょう」という陰険なもの。
事件として報じられたいじめ自殺事件はずいぶん昔からあったようです。学生のいじめ自殺は、1978年から2008年の30年間でなんと120件も起こった、ならせば1年に4件です。全く驚きました。30年間のいじめ自殺事件
また、自殺の原因別統計によれば、学校問題で自殺した10代の子供は昨年1年で186人。つまり2日に1人が自殺しています。
こうした子供の自殺は、それがマスコミの話題になるならないを問わず、その度ごとにまるで呪文のように、サインを見つけよう、人権を教えようなどという陳腐ともいえる対策が唱えられ続けてきたといえます。今回もテレビのコメンテーターなどは、手当り次第に批判と非難を声高に唱え、それはいじめの伝播とさえ感じられる。親も教師も学校も文部省も、事件が起こるたびに二度と起こしてはならないと反省したようです。そしてその度ごとにそれなりに対策を講じてきたのではないでしょうか。でもその効果は全くなかったといっていいのではないか。いっこうになくならないのですから。
いじめは集団社会には、アプリオリに内在するという考えはあるとしても、これほどの深刻ないじめが絶えないというのは、学校というシステム自体を考え直さないといけないのではないか。そんな気がしてきました。
いじめは、学校に限らず一般社会たとえば会社にもあります。リストラなどというのもかなり高い確率でいじめとの関連を持っているのではないでしょうか。
自殺に関して、日本以外の国ではどうなのだろうか、自殺が多いのだろうかと気になったので、WHOの統計で調べてみました。自殺の国際比較には自殺率という指標を使います。自殺率とは10万人のうち何人が自殺するかの人数を示したものです。
それによれば、日本は105カ国中8位の24.4人です。自殺者数でいうと1日に82名、なんと1時間に3人が自殺しているのです。
自殺率一位はリトアニアの34.1人です。
G7の国で日本に続くのはフランスの16.3人の20位、アメリカの11人の42位、イギリスの6.9人の59位。イタリアが6.3人で62位と低いのは何となく納得がゆきます。
国家の破綻に瀕しているといわれるギリシャは、80位でした。
このWHOの統計を見て、ぼくが気になったことがありました。このデータは2011年のものなのですが、以前からの変化を見ることができます。2004年と比べてみると、日本は10位から8位であり、ほとんどの国では2〜8くらいの順位変動なのですが、目立つのは韓国の変化であって、2004年に24位であったのが、一気に2位になっています。この変化は韓国でのなにか大きな社会の変化があったことが予測されます。それはなんだったんだろう、なにか分かる気もするのですが、大いに気になったことでした。
いじめというのは、ぼくの考えでは人間がもつ原罪的な問題であり、そんな簡単に解決できるものではないという気がしています。大人社会のいじめは巧妙に内在化していますが、子供はより単純なので、より正直に具現化しているのではないか。そういう観点からさらに考えてみたいと考えています。