バンコックのFourSeasonsHotelに投宿して3日が過ぎた。
昨日の喜寿のパーティも終わり、参加してくれた人たちは、数人を残して三々五々に帰国の途についた。
夜半を過ぎるまで、シガーを吸いながら、サトー君と自室で話をしていた。タイでも法律で喫煙が禁じられたので、禁煙でない自室でしか、シガーを楽しむことが出来ない。
彼の癌の基礎医学的な研究について、いろいろ質問して話を聞き、彼も熱中して話しているうちに時間が経ち、「帰って仕事しないと」と、彼は部屋に帰った。もう1時近かった。
ぼくは、着いた時から書き始めている<葉巻のけむり>の原稿を書き足そうとして、机に向かった。
旅先ではよくあることなのだが、軽率にシステムを触って失敗する。この時も、あまり考えずにこの間から出ていたInternalErrorという別段支障のないエラーを直すつもりで、フェースブックのプラグインをアップデートした。
すると、Fatal Errorというのが出て、WordPressが立ち上がらなくなってしまった。
これを直すべく、いろいろやっているうちに、どう間違ったのか、データが消えてしまった。
参った。全身総毛立つようなおののきだった。どうしようと思い、いろいろやってみたがどうしようもない。ともかく日本に電話した。
ぼくが使っているレンタルサーバーは24時間のシスセム・サポートがあって、相談に乗ってくれる。この際、電話代がかかるなどということは問題じゃないと思えた。
結果、回復は不可能だという。サーバーの仕組みは、個人用のPCと異なり、消えたデータを復元することは不可能だという。何とかならないかと粘ったが、どうにもならないということだった。
ぼくは、インストールしたプラグインを上書きしてもとの古いバージョンに戻そうとして、サーバ内でバックアップファイルをドラッグドロップしただけなのだ。
システムの欠陥だと怒ってみても、詮無いことだと諦めざるを得なかった。
WordPressというブログ用のソフトを、このレンタルサーバーのシステムを使ってインストールした場合、自動的に1日前、2日前、最後は21日前と、しめて3週間分 バックアップが残る仕様になっているものの、そのバックアップは、まずダウンロードしてからアップロードしなければならない。
ぼくがやった様に、サーバー内でドラッグ・ドロップをやると、本体もバックアップも全部消えてしまうのだということが、分かった。やっぱり欠陥ではないか。
諦めきれずに、ぼくはコンピュータの中をうろついていた。
そして、発見したのだ。2日前ーバックアップがダウンロードされていることを。よかったぁ。ほくは叫び声を挙げたいほどうれしかった。
ただし、問題のエラーは出たままで、ソースコードの書き換えなど、いろいろ試みてもシステムは立ち上がらない。
エラーを出しているフェースブックのプラグイン全体を削除することにした。これでシステムは回復し、<葉巻のけむり>は立ち上がった。全てはもとのままだった。
安堵したものの、読んでくださった方のこれまでのコメントや、いいね、お薦めなどの表示はすべて消えてしまった。本当に申し訳ない気持ちになった。なんとかしようか。
回復の可能性はないとはいえないと思うのだが、けっこうびびりの来ているぼくは、もういじらないことにした。回復のトライは帰ってからだ。
まあ77歳の区切りで、ブログも心機一転、白紙からの出直しかと開き直ったのだったが、無意識のダウンロードがぼくを救った。
もう夜があけて来たが、窓の外の曇り空よりぼくは明るい気持ちといえる。