先月11月28日、東京高等裁判所で一審判決を棄却しNHKに損害賠償を命じる判決がでました。
有名なNHK一万人集団訴訟です。原告が一万人を越えて13000人などということは、歴史上初めてのことだといいます
第一審では、裁判長はこれまでのNHKが訴えられたいくつもの裁判で、何度も行ってきたように「報道の自由」という理由で、にべもなく訴えを退けました。
ところが、第二審の東京高等裁判所の須藤典明裁判長は、番組の内容をつぶさに検討し、「深刻な人種差別的な意味合いのある言葉を使って名誉を傷つけた。取材の際の説明も極めて不十分だった」などと指摘して、NHKに100万円の賠償を命じた」のです。
これは間違いなく画期的なことで、世の中が変わりつつあることを示しているのではないかと思うのです。
ことの起こりは3年前のNHKスペシャル シリーズ 「JAPANデビュー」の内容でした。このシリーズの第2回「天皇と憲法」については、ぼくもこの葉巻のけむりで「NHKスペシャル『JAPANデビュー』の「天皇と憲法」とリベラル派学者」というタイトルで取り上げました。
さて、問題となったのは、第1回の「アジアの“一等国”」の内容でした。1910年にロンドンで開催された日英博覧会で台湾南部高士村のパイワン族の男女24名が「人間動物園」として展示されたとする内容でした。ドキュメンタリーを装いながら、巧妙な編集によって結論ありきの創作となっています。
だいたいこのシリーズ自体が、東京裁判史観と呼ばれる虚妄の歴史観の補強の意味合いを持っているとぼくは考えていました。
それは、判決文にいうごとく「世界の一等国に登りつめていった日本がなぜ坂を転げ落ちていったのか、日本は最初の植民地台湾での激しい抵抗運動を武力で弾圧し、世界の民族自決の動きに逆行して同化政策を押し進め、台湾にはいまも深い傷跡が残っているという内容を放送し、その具体例として・・・」、「人間動物園」という刺激的な文言を狡猾に配置しているのです。
NHK制作担当者
の濱崎、島田の両氏は、先の大震災での台湾からの義援金が最高額だったことをどう説明しようとするのでしょうか。
また、「世界の民族自決の動きに逆行して」どころか、民族自決の動きを初めて作ったのは「大東亜戦争」を戦った日本ではなかったのか。NHKにはこのような狂ったともいうべき考えに固まった人が多く存在しているようなのです。
今回の判決が画期的なのは、明文化されていないにしても、そうした制作の意図を問題としている点であり、これは今後ほかの民放の制作にも影響を及ぼすことになると思われます。
映像編集に関して、サブリミナル効果ということがいわれます。サブリミナルというのは「識域下の」という意味で、認識できないような速い速度で一瞬の映像や音声を挟み込むことで、意識下の潜在意識に働きかけて、無意識の内に映像や思考を刷り込むということです。
これが、本当に効果があるのかどうかについては、学問的には実証されてはいませんが、そういう試みがドラマや宗教宣伝や選挙運動などで問題となり、NHKもこれを行わないことを表明しました(1995年)。
サブリミナルな画像ではないとしても、ヒトラーとスターリンの画像の間に昭和天皇の画を挟んだとしたら、それは大きな問題です。映像編集者の意識が問われる。それは、簡単に「報道の自由」などではないといえると思うのです。
韓流ブームを起こした韓流ドラマにはひどい歴史の捏造があると告発した本を書いたのは宮脇淳子氏でした。この本を読んで、韓流がいやになった人も多いと思います。
この本に限らず、中国史や朝鮮史などの彼女の本は面白いしとても新鮮です。彼女は京大出の東洋史家なのですが、専門はユーラシア史・遊牧民族史なので、大方の東洋史の専門家が毛沢東の中国史を下敷きにしている中では異質です。
その著作はアジアにおける真実と本当の歴史を語っています。それらは戦争前には沢山あったのでしょうが、GHQの焚書によって完全に消滅したのでしょう。
彼女の『韓流時代劇と朝鮮史の真実 朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏』には、日本人ならこうした捏造はドラマを見る日本人が黙ってはいないだろうという記述があちこちに見られます。
たしかにNHKのドラマに捏造と呼べるものは、多くはないといえるでしょう。しかし、NHKのやり口はパッシングです。
つまり報道しない、描かない。例を挙げてみましょうか。
フィリピンの津波災害救援に日本の自衛隊が派遣され、オスプレーが大活躍をしているのですが、このオスプレーの活動の報道が一切ありません。反日とも思える左翼系の団体のデモは規模が数十人であってもつぶさに報道される一方、たとえば田母神元幕僚長が主宰する「頑張れ日本!全国行動委員会」の5000人規模の集会に関しては完全にパッシングだそうです。
おおいに人気をはくし、「じぇじぇじぇ」が流行語大賞をとった連続テレビ小説『海女ちゃん』。東北地方太平洋沖大地震が重要な事件として劇中で描かれます。ところが、このとき活躍した自衛隊に関する描写が一切ないのだそうです。これもパッシングといえるでしょう。
少し前に放映されたドラマ、たしか五回連続の『負けて勝つ』は熱心に視聴しました。しかしDVD化マニアのぼくが、不思議にもこれをDVDに収める気にならなかったのです。どうしてなのか、自分でも分からなかった。
最近、桜チャンネルの座談会での出席者の発言を聞いて、そうだったのかと合点がいったのでした。
吉田茂も白州次郎もしっかりと描かれている。しかし天皇陛下の描写がいけないというのです。マッカーサーとの会見の場面で天皇陛下が怯えているように描かれている。
そして、吉田茂が亡くなったことを知る天皇陛下という場面があって、その時に陛下のおられるお部屋というのは、暗くて、壁の一番高いところにだけ小さな窓がある部屋だったというのです。そんな部屋は皇居にはない。
これは天皇陛下を戦争犯罪人として描きたかったディレクターの作為が見て取れるというのです。それは聞いて、なんかもやもやが不可解だった気持ちの理由が分かったと思ったのでした。ともかくGHQによって作られたというNHKには、日本の国体を否定し変えたい、つまり日本国を滅ぼしたいとサブリミナルに考える人がいるということのようです。
先日の12月3日、衆議院総務委員会で、自民党の三宅博議員がNHKについて、まことに的を得た質問を行いました。
そこでは、一万人訴訟で訴えられた『JAPANデビュー』についての質問に始まり、NHK職員の給与の実態、外国人職員の数、中国との関係などなど、かつてなかったような内容の質問が初めて行われました。
戦後60年の永きに渉ってほとんど見過ごされていた問題点が、ようやく取り上げられたといえる訳で、これも画期的なことと思います。少し抜粋して再現してみましょう。
質問はまず、職員給与に関するものでした。
ーー海上保安庁の職員は1万2636人。海上保安庁の全予算(H24年)は、1732億円。
NHKの職員数は、1万0354人。NHKは人件費だけで1819億円。
NHKは2割近く少ない人数の人件費だけで、海上保安庁の全予算を上回っている。
こんな事が果たして許されて良いのかどうかと思う。ーー
平均年間給与は1200万を越えており、ふつうの会社員の2・3倍といえるのだそうです。
外国人の職員数に関してはこんな風でした。
ーー次にNHKに勤務している外国人職員数の国別人数をお聞きしたい。
NHKの中には相当数外国籍の職員さんがいらっしゃると思いますけど、その国別、あるいは人数をですね、ちょっとお答え頂きたいと思います。
日本放送協会専務理事・吉国浩二氏はこんな答弁をしました。
「ご質問ですけど、あのー、NHKではですね採用に際しましてはですね。あくまでその、公共放送を支える人材という意味でですね、人物本位の採用を行っておりまして、国籍を問題にしてるという事はございません。
外国籍の職員につきましては、採用時に在留資格の確認などのために国籍を個別に確認しておりますけれども、その後帰化するとかそういう事情もありますのでですね、国別に正確に把握しておりません。申し訳ないんですけども、今ちょっと今お答えできないということであります。」
これを聞いて、三宅議員は切れました。大声を上げました。
「把握してない事ないでしょう!どこの企業でも団体でもそのぐらい把握してるし、答えられるはずですよ!この委員会、なんと心得ているんですか?!」
次に、中国との関係に関しての質問の要旨は次のようなものでした。
「NHKは中国のCCTVと非常に仲が良い関係にあり、NHKの社屋内にCCTVがある。NHKは中国のCCTVに大量の情報や映像を提供している。
中国のCCTVに自衛隊防衛レーダーサイトの詳細な取材映像を提供している。尖閣諸島の空から撮影した映像なども中国に対して提供している。
それに対して、自衛隊が以前「やめてください」と申し入れても、NHKは無視をしてきたということです。NHKがやっていることは、スパイ行為に加担している。
ひょとすると、外患誘致罪にも該当する。」
こうした追求が始まったことは、まことに結構なことだと思うのです。今回の追求では触れられませんでしたが、不払い運動や聴取料未収の問題があります。聴取料未収ということは、いわば不良債権なのです。
NHKが公表している資料によれば、未契約者世帯は1085万世帯。これにかんしては期間が不明なので計算のしようがありません。一方、契約しているが未払いの者が177万人で、その未収代金は一兆円を越えている。つまり不良債権一兆円というわけです。これは大きな問題です。
ネット上では、契約しない方法の解説がいくつも上がっています。契約しなくても罪に問われることはないそうです。NHKは契約を迫る訪問活動自体が商売として成り立っている。訪問員の高額な給料は視聴料で支払われているのです。今回の裁判、おそらく控訴はしないと思われますが、原告への賠償費用の支払いも同じように視聴料からなのです。
払う人も払わない人もいる。こんな不公平な話はありません。払わないなら裁判で取り立てたらいい。しかし、そんなことはしたくない。なぜなら、いまの状態を変えざるを得ないことになるからです。
電気や水道など生存にかかわるインフラの費用も、払わなければ止められる。しかし電波は止めることはできないという立場をNHKは取っています。しかしそんなことはありません。もう2年も前からスクランブルを掛けて見れないようにできる技術ができているそうなのです。
そうしないのは、NHKはいまの状態が最もいいからなのでしょう。何も変えたくない。国家唯一の公共放送という大義などはどうでもよくて、いまの高収入の状態が保たれるのが最高なのでしょう。
もし、かつての国鉄のように民営化されたら、おそらくいまの3分の1の規模で同等の機能が発揮できるといわれていますが、そうなるのは困るということなのでしょう。
しかし、一兆円の不良債権を抱えたまま、この腐ったNHKを存続させていいわけはないのです。
腐った組織が生み出す腐った番組は、食物に似て、それを摂る者の健康を害します。
まずは、腐っているかどうかを見定める五感を鋭敏にすることと、腐っているものに対する抵抗力をつけることが求められると思うのです。