君が代・日本の国歌

群馬県の富岡製糸が世界遺産に登録されることになって、みんな大喜びで万歳。

群馬県の富岡製糸場が世界遺産に登録されることになって、みんな大喜びで万歳。(’14/04/27)。しかし正しく万歳している人は一人もいない。

 選挙戦に勝った人たちが、大喜びで万歳を三唱します。そういう場面をテレビが写すことが多い。でも少し気になることがあるのです。その時の掌の向きなんです。掌は前を向いていてはいけない。それは、ホールドアップ!と銃を向けられたときの対応で、つまり万歳ではなくて降参のポーズだからです。万歳には掌は拍手をするような方向に向いていないといけません。
 知らない人が実に多いことが画面を見ていて分かります。ぼく自身5・6年前まで知りませんでした。もっとも誰も教えてくれなかったし、万歳をする機会などあまりありませんでしたから。
 
さざれ石。日本各地の神社に多く存在する。

さざれ石。日本各地の神社に多く存在する。

 他にも知らない人が多いことが国歌「君が代」の唱い方にあります。「千代に八千代にさざれ石の」のどこで息継ぎをしますか? 「千代に八千代にさざれ」「石の」という具合に「さざれ」と「石」の間で息継ぎをしている人が多いのではないでしょうか。これはここで切ってはいけないのだそうです。なぜなら「さざれ石」はそれは塊の石であるから割ってはいけません。こういうことは学校で教えなくてはならないのに、それが行われていないからなのでしょう。
 万歳も君が代も正しく子供のときから教えないといけません。

 君が代を聞く機会は多い。ボクシングやサッカーの国際マッチではいつも君が代が流れます。アカペラのことも多く、それぞれ個性のある君が代を聴くことが出来ます。
 それにしても、君が代も日の丸と同じく実にシンプルで単純です。おそらく世界で最も短い国歌ではないでしょうか。そして、世界最古の國ですから当然のことながら、作詞・作曲ともに不詳です。
 同じように作詞・作曲ともに不詳というのは英国のゴッド・セイブ・ザ・クイーン(神よ女王を守りたまえ)だけのようです。でも、その歌詞はひどく長い。3番まであります。

おお神よ 我らの優しい女王を守りたまえ/
我らの気高き女王を 長生きさせたまえ
/神よ 女王を守りたまえ
/彼女に勝利と、/
幸福と栄光を与えたまえ
/女王の時代を長く続かせたまへ
/神よ 女王を守りたまへ



おお主よ 神よ、立ち上がられよ
/女王の敵を蹴散らしめたまへ/
打ち砕きたまへ
/敵の策を打ち破りたまへ/
敵の姑息な罠を挫きたまへ
/我らの望みは汝の上に!
/神よ我らを救いたまへ



闇に潜む敵より/
暗殺者の魔の手より/
神よ女王を守りたまへ/
彼女の上に汝の腕を広げ
/ブリテンの為に彼女を守りたまへ
/我らの母であり王女であり友
/神よ女王を守りたまへ

これが「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」、女王の弥栄を願っているにしても、君が代に比べてなんと好戦的な歌でしょうか。「敵の姑息な罠を挫きたまへ」とか「暗殺者の魔の手より
神よ女王を守りたまへ」とか、陰謀と暗殺に明け暮れた歴史をふまえていて、「君が代」の平和指向が際立ちます。
でも、フランス国歌の「ラ・マルセーズ」はもっと強烈です。

さあ行こうぜ ベイビー
/栄光の日がやってきたぜ!/
ひどい支配に抵抗する俺たちに/
血まみれの旗がひるがえるぜ!
/血まみれの旗がひるがえるぜ!/
国中に響く 獣みたいな敵兵どもの
吠え声が聞こえるかい?
/奴らは俺たちの腕の中まで攻めてきて
/妻や子供たちの喉を掻き切ろうとしてるんだ!
/(コーラス)/
この國に暮らすみんな 武器を取れ!/
みんなの軍隊を作るんだ!
/さあ行こう! さあ行こう!
/この地に奴らの薄汚い血の雨を降らせろ!

 この「ラ・マルセーズ」は、フランス革命のときの革命歌で、マルセイユの連盟兵(義勇兵)が歌って広めたことからこの名前になりました。ルージェ・ド・リールという人が、1792年に作詞・作曲しました。
 文化・芸術の元祖みたいに思われているフランス国歌がこんな歌詞だなんてと驚く人が多いのではないでしょうか。
 フランス革命の歌ですから、それは当然ともいえます。フランス革命などというのは、現代の考え方からすれば、とんでもない蛮行といえます。しかし、フランス革命によって近代の世界は始まったとされています。フランス革命は、当時の先進思想であった啓蒙思想と合理主義によって引き起こされました。そして、その合理主義は共産主義を生み出し、現代のグローバリズムにまで続いているといえるでしょう。
 そして、世界は根底において、ラ・マルセーズの思想に今も立脚していることを知るべきだと思うのです。

 中華人民共和国(チャイナ)の国歌を見ましょう。作詞は田漢、作曲は聶耳という何と読むか分からない人で、年代はそれぞれ1934年、1935年です。
立ち上がれ! 奴隷になるのが嫌だという奴ら!
/俺たちの血肉をかけて新しい万里の長城を築こうぜ!
/中華民族は今最大の危機を迎えているぞ/
一人ひとりが最後の雄叫びをあげる時だ。/
起て! 起て! 起つんだ!
/俺たちすべてが心を一つにして、/
敵の砲火に立ち向かって進め!
/敵の砲火に立ち向かって進め!
/進め! 進め! 進め!(竹田恒泰訳)
 これは、義勇軍行進曲とよばれる人民解放軍の歌で、まあ勇ましい進軍の歌なのですが、歌詞中の敵とは日本軍のことなのです。

 アメリカの国歌「星条旗よ永遠なれ」も引きたいところですが、やたら長いので止めにして、最後に、わが日本国の国歌「君が代」を引いてみましょう。
君が代は
千代に八千代に
さざれ石の
いわおとなりて
こけのむすまで
 なんという単純さと平明さでしょうか。その曲想が何と穏やかでのどかで平和的なのでしょうか。こんな國が他国を侵略しようとするはずがない。そう感じませんか。

 「君が代」の歌詞は、10世紀に編纂された「古今和歌集」の和歌の一つなのですが、明治維新後、曲が付けられ国歌扱いになったようです。それまでに関しては、平安の時代にはおめでたい時に唱われる祝賀の歌であったり、江戸時代には性にまつわる歌(「岩」と「ほと」が、男性器、女性器、「成りて」が性交を意味したなどという説)などといろいろあったのですが、明治維新で国歌となったといえるようです。
 だから、1903年(明治36年)にドイツで行われた「世界国歌コンクール」で、「君が代」は一等を受賞したのです。しかしこうしたことは、あまり知られていません。学校で教えるべきです。
 戦後の教育の偏向の中で、国旗・国歌が問題となり、卒業式での国歌斉唱で、起立しないし、唱うことを拒否する教員がいて問題となりました。そんなことを決めることがおかしいと思いつつも、政府は国旗国歌法を定めざるを得なかったようです(1999年)。
 
 日本には、「君が代」を侵略の歌としてけっして唱わないという、少し頭のおかしい人たちがいるのです。そういう人たちの一人が、苦労して英語の君が代を作りました。
 その英語の歌を歌うと口の動きは、君が代を唱っているのと同じになる。やがて、日本では、君が代を歌わないと、逮捕される時代が来るかも知れないので、そうなった時には有効だというのです。やっぱり狂っているとしかいえない。
 その歌はこんなものです。
Kiss me, girl, your old one.
Till you’re near, it is years till you’re near.
Sounds of the dead will she know?
She wants all told, now retained, for,
cold caves know the moon’s seeing the mad and dead.


 たしかに、「キス・ミー・ガール・ユア・オールド・ワン」で、「キー(ス)・ミー・ガー(ル)・ヨー・オー(ルド)ワー(ン)」と聞こえ、口の動きも本来の歌詞と見分けにくいようです。よく作ったものだと褒めてあげたいと一瞬思い、そして気持ちが悪くなりました。こんな人たちは日本が消えて行くことを望んでいるに違いないと思ったからです。
 訳詞もあって、こんな風になっていますが、英語になってないとけなしている人もいます。まあどうだっていいのでしょう。
私にキスしておくれ、少女よ、このおばあちゃんに。
おまえがそばに来てくれるまで、何年もかかったよ、そばに来てくれるまで。
死者たちの声を知ってくれるのかい。
すべてが語られ、今、心にとどめておくことを望んでくれるんだね。
だって、そうだよね。冷たい洞窟は知っているんだからね。
お月さまは、気がふれて死んでいった者たちのことをずっと見てるってことを。

 まあ気の触れた人たちは勝手に遊んでて、といいたいだけなので、こんなことをここに紹介するまでもないとは思ったのです。しかしそういう、破廉恥な人たちもいるということを知ることも必要だと思ってあえて紹介した次第です。
 ぼくたちは日本人なのだから、姿勢を正し、腹の底から声を出して「君が代」を唱わねばならない。そう思うのです。

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