このことは、大きなニュースとして取り上げられ、ネットでも記事が溢れています。
朝日が認めたのは次の二つでした。吉田清治の証言は本当ではなかった。そして、工場などで働く女子従軍挺身隊と慰安婦を混同する誤りを犯したというものです。
32年も経って、ようやく分かったというのはおかしい。吉田証言が嘘であるということを朝日新聞は早くから分かっていたし、そうした報道も一回はやっていました。しかし訂正しないで報道し続けました。その回数は32年間で16回に及んでいます。だからこれは明らかに捏造報道だったといえます。
女子挺身隊と慰安婦を重ね合わせて、ありもしなかった「従軍慰安婦」なる名称を作り、その結果人数も吉田証言の最初の200人から20万人に膨らみました。そして、「研究不足のため」に混同したという白々しい言い訳をしています。
さらには、慰安婦問題の本質は強制性があったかどうかではなく、女性の人権侵害があったかどうかであって、この問題を追及しないといけないと、驚くべきすり替えと開き直りをしています。
このことを、産經新聞は<白旗を掲げて、進軍ラッパを吹く>と揶揄していますが、まことに言い得て妙だと思いました。
韓国女性の強制連行の話は、安倍首相が国会答弁で「詐欺師」と呼んだ吉田清治という男から発しました。彼が新聞に投稿した嘘話に『週刊朝日』が飛びつき記事にしました。マスコミが嘘話に飛びついたばかりでなく、講演の依頼があったりで、このバカ男はどんどん嘘を再構成して行ったようです。
朝日の記事が出た翌年の1983年に彼は本を書きます。三一書房『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』でした。
これで、彼の嘘話は真実となったようです。これがもとで、多くの報道がなされ、いくつかの本が書かれました。当時日本歴史学の泰斗とされ、教科書裁判で名を知られていた家永教授は、その著書の中で、誰にも言えないことを明らかにしたとして、その勇気を誉め称えていたそうです。
当然のことながら、検証が行われました。現地・済州島の新聞記者がその村を調査して、そんな事実がなかったことを地方紙に書いていたことが明らかになります。日本人も現地を訪れこれが嘘であることを確かめます。
吉田清治も何度もこのことを究明しようとする研究者の人に面会を迫られました。彼は、嘘でしたとは言わなかったけれど、「でも、新聞雑誌などでも同じようなことをやるでしょう」などと答えたということです。
こうしたことから、世間一般では、彼の本が小説であることが明らかになって来たようでした。彼はもう14年も前になくなっていることが今になって分かったのですが、朝日はどうして死亡記事を載せなかったのですかねぇ。 こうして創作であるとの知見が形づくられてゆくにもかかわらず、捏造記事を流し続けたのは朝日新聞でした。この32年間で16回に及びました。中でも注目すべき一人は植村隆記者でした。
彼は、韓国特派員時代の1991年8月11日に朝日新聞大阪版に以下のような記事を書きました。少し長くなりますが、引用します。
<日中戦争や第二次大戦の際、「女子挺(てい)身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり、「韓国挺身隊問題対策協議会」(尹貞玉・共同代表、十六団体約三十万人)が聞き取り作業を始めた。同協議会は十日、女性の話を録音したテープを朝日新聞記者に公開した。テープの中で女性は「思い出すと今でも身の毛がよだつ」と語っている。体験をひた隠しにしてきた彼女らの重い口が、戦後半世紀近くたって、やっと開き始めた。
尹代表らによると、この女性は六十八歳で、ソウル市内に一人で住んでいる。(中略)女性の話によると、中国東北部で生まれ、十七歳の時、だまされて慰安婦にされた。ニ、三百人の部隊がいる中国南部の慰安所に連れて行かれた。慰安所は民家を使っていた。五人の朝鮮人女性がおり、一人に一室が与えられた。女性は「春子」(仮名)と日本名を付けられた。一番年上の女性が日本語を話し、将校の相手をしていた。残りの四人が一般の兵士ニ、三百人を受け持ち、毎日三、四人の相手をさせられたという。「監禁されて、逃げ出したいという思いしかなかった。相手が来ないように思いつづけた」という。また週に一回は軍医の検診があった。数ヶ月働かされたが、逃げることができ、戦後になってソウルへ戻った。結婚したが夫や子供も亡くなり、現在は生活保護を受けながら、暮らしている。>
経済評論家でテレビでよく見かける池田信夫氏によれば、これは誤報ではなく意図的な捏造であり、植村記者の妻は韓国人で義母が訴訟の原告団長だったので、義母の訴訟を有利にするために「日本軍の強制連行」という話にしたのだ。重大な点は、この記事の韓国女性は金学順であり、日本政府に対して賠償訴訟を行ったのだが、その訴状には最初にキーセンとして父親に40円で売られたとあるのに、これを隠して「女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦のうち、一人が名乗り出た」と報道したことであるとしています。
この記事の後、北海道支局に移動し、そこに塩漬けにされていたそうなのですが、退社後今年三月から神戸の松蔭女子大学に就職が決まっていたのに直前にキャンセルにあったといいます。そして、札幌の北星学院大学の非常勤講師として、韓国人留学生に朝日新聞を教材として日本語を教えていたのですが、非難の電話が相次いでいたようで、後期までまでいたのかどうかは定かではありません。
ネット上では、非難が渦巻いているのは理解できますし、追求を止めてはいけないと思いますが、息子や娘にまでその矛先が向くのはいかがなものかと、感じています。
もう一人挙げておかないといけないのは、前朝日新聞主筆若宮啓文という人です。ハニー・トラップが噂され、週刊誌に「女・カネ・中国の醜聞」というタイトルで取り上げられたりしました。2005年に朝日のコラムにこんな記事を書いています。
<いっそのこと島を譲ってしまったら、と夢想する。見返りに韓国はこの英断をたたえ、島を「友情島」と呼ぶ。(略)「国賊」批判が目に浮かぶが、いくら威勢がよくても戦争できるわけでなく、島を取り返せる見込みはない。もともと漁業のほかに価値が乏しい無人島だ>
そういう人なのです。彼が止めてから朝日の左一色が少々是正されたともいわれています。
ここで、問題にするのは、かつての記事で一介の人集め要員だった吉田清治を「旧軍人」と報じたことです。これによって強制連行が一挙に補強されることになったのです。若宮氏はそうした嘘をついたのでしょうか。そうではないとぼくは考えています。彼は吉田清治の本を読んでいなかったのです。そういう人が主筆に収まっており、韓国と一緒にプロパガンダを行ってきたことが問題だと思うのです。 今回30有余年を経て、ようやく朝日新聞は記事の過誤は認めたけれど、反省はしていません。反省どころか、まぎれもなく「進軍ラッパを吹いて」います。
8月5日の朝日新聞朝刊一面「慰安婦問題の本質直視を」を見ましょう。
<戦時中日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性がいた事実を消すことはできません。慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです。90年代、ボスニア紛争での民兵による強姦事件に国際社会の注目が集まりました。戦時下での女性に対する性暴力をどう考えるかということは、今では国際的に女性の人権問題という文脈でとらえられています。慰安婦問題はこうした今日的なテーマにもつながるのです。編集担当杉浦信之>
この人、ボスニア紛争というものを全く理解していません。少しの理解があれば、そんな無茶な文脈が成り立たないと分かるはずです。人権を振りかざせば片がつくというような浅はかなアホとしか言いようがない。調べたらこの人、朝日新聞東京本社報道局長でした。驚いた次第です。
先日のプライムニュースに金 玄基(キム・ヒョンギ)氏、中央日報東京総局長が出ていました。今回の朝日の誤報報道に関して韓国各誌は、慰安婦問題であれほどこだわっていた強制性が否定されたことにはほとんど触れていません。
たとえば、中央日報は「朝日新聞は、保守勢力が提起する『朝日捏造論』について、一つ一つ反論」と報じました。誤報報道のパッシングです。このことを強く突っ込まれ「韓国には対日関係の修復の意欲はないのか」と問われた金氏は、次のようなたとえ話で答えたのです。「幼児誘拐犯の手段が暴力的であったか、お菓子でつったかの違いに過ぎない。問題は誘拐である。」
この論法は、まるで朝日とそっくりなのに驚きました。そもそも慰安婦の20%を占めただけの韓国人女性は誘拐されたわけではありませんでしたし、語るに落ちたたとえ話ではないでしょうか。
朝日の謝罪を求める意見は当然ともいえますが、そんなことより強制連行がなかったことを英文で世界に伝えるよう朝日に迫るべきだと思います。同時に日本の政府も事の次第を英文で世界に広報する必要があると思います。
国連には「クマラスワミ報告」があり、アメリカには「アメリカ合衆国下院121号決議」があります。これらはすべて朝日の捏造記事がソースとなっているのです。
それにしても、このような明白ともいえる事実がなぜ32年も放置されてきたのか。あるいは、なぜ今になって明らかにされたのか。これは大きな疑問ともいえます。
今普通の理解では、それは安倍政権の成果だというものです。それと、マスメディアの情報の独占を崩壊させたネットメディアの威力も大きかったと思われます。
韓国では、良識派ともいえる新聞はこんな論評を行っています。
これまで、朝日はいわば反日の産室であり、全てのネタはここで生み出され我々はそれをありがたく頂戴していた。そのままの状態を維持しておれば良かったのに、韓国はやり過ぎを始めた。たとえば旭日旗の問題その他は韓国が先走りで始めたものだった。
その結果、世界的な影響が急激に広がり過ぎ、朝日の愛国心を刺激してしまったのだ。
とまあ、そんなことなのです。次のブログを見てください。
朝日新聞の「自爆」(誤報を認めた)の背景
それにしても、<南京大虐殺>も同じなのですが、なぜこんな馬鹿げた嘘が当然のようにまかり通ってきたのか。こんな日本を貶める嘘がまこととして語られてきたのか。あるいは語られ続けられるのか。そうした誰もが抱く疑問について、ぼくなりの考えなどについては次の機会にまわしたいと思っています。