放送法問題

 ずいぶん昔のことを思い出した。高校の教師になってすぐのことだったから、もう半世紀も前のことになる。
 赴任してすぐに2年生の担任を命じられてすぐにメーデーがあった。
 組合の分会からは、ビラが配布され、「メーデーは世界の労働者のお祭りであり、これに参加し連帯するのは労働者の権利であり義務でもある」とあり、これを生徒に説明しなさいということだった。
 一方学校長からの指示は、メーデーは休日ではない。正常な学校生活と授業を行わないといけないという指示文書で、これも生徒への説明を要求していた。
 ぼくは困った。それぞれの考えをまっとうに説明するには、ぼくはあまりに不勉強だと思った。山登りにかまけて、当時の流行とも言えた安保闘争などには、理屈はわかったが興味がなかった。
 そこで、ぼくは、この二種類のビラを並べて、教室の掲示板に貼ることにした。そして、みんな読むようにとだけ言っておいた。
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