つい最近のことのような気もするのだが、数えてみればもう半年も経っていて少し驚いてしまう。
武漢ウィルスが言われ出したのが、一月の半ば頃だった。
ちょうどその頃、ぼくの愛機のMacBook Proが変調をきたした。確か14年モデルでもう少々古くなっていて壊れても不思議でもなかった。それに2年前にも故障していた。この時は、画面がおかしくなった。何度も再起動を繰り返すと正常に立ち上がる時もあるので騙し騙し使っていたのだが、しまいにはダメになった。ビデオボードがいかれたことはわかった。しかしアップルにはこの機種のパーツは無くなっていて、修理はできないとのことだった。
ネットで探したら青森の業者がこのビデオボードを持っており、直せますというので交換を依頼することにした。交換とデータ移行などで、代引き込みで費用は62208円。メールを調べてわかったのだが、それは2018年11月のことだった。
あれから2年も経たない今度のトラブルは、その症状から見て、マザーボードと思われ、これの修理はちょっと無理だと思われた。だいぶ以前からのことなのであるが、このMacbook proの遅さが気になっていた。
OSがどんどん進化して肥大すると遅くなるのは当然なのだが、それはハードウェアの進歩で解決されて行く。記憶媒体のハードディスク(HDD)は、円盤の磁気媒体に記録させる方式で長年使われてきた。しかしその後に使われるようになったSSD(ソリッドステートドライブ)は、極めて高速で安定した記憶媒体だった。問題は極めて高価だったこと。しかしどんどん価格は下がってきた。
新しいMacBook Proには当然SSDが装着されている。
欲しいなあ、でも修繕したばかりだから・・・などと繰り返し思っていた時、この故障だった。
不思議なことに、無機物のハードウェアは、あたかも生き物の如き反応をするもので、こうしたことは何度も経験している
早速京都四条のアップルストアに出かけた。数年前にオープンした素敵なお店である。
目当てのものは決まっているから迷うこともない。ディスプレイの大きさに13インチと16インチの二つがあるが、これは16インチにする。
ぼくは、マッキントッシュが初めて現れた時からマックのユーザーだった。それから20数年間、機種が変わるたびに買い替えてきた。メモリーは多いほどいいと言うのがぼくの持論で、壊れたMacBookも8Gを増設して16Gとしていた。でも、この新MacBook Proには最初から16Gが入っているから増設の必要はないと思えた。
CPUもアップグレードが可能のだが、そんなことは必要ないくらい高性能なスーパーマシンとなっている。
記憶媒体には、1T(テラ)のSSDが積まれている。古いMacBookのデータは満タンの800Gに近づきつつあったが、いずれ1Tは満タンになるだろう。この新MacBookはSSDの増設が4Tまで可能なのである。
SSDを増設するかどうか、だいぶ悩んだが、思い切って4万円を奮発して、2Tとした。お値段は40万円に近づいた。でもこれで死ぬまで、いくら長生きしてもいっぱいになることは絶対にないと納得することにした。
1T・SSD標準搭載のものは在庫があったが、増設したら取り寄せとなると言う。そして取り寄せには二週間かかると言う。まあしゃあないなあと思って、お店を後にした。
膝の上のマックがなくなったので、机の上のWindowsマシンを使うことになった。この自作のWindowsマシンでは、Windows7が動いている。せんとあかんあかんと思いながら、延び延びになっていたWindows10への切り替えをすることにした。
このやたら遅いWindowsマシンも数日かかってシステムの切り替えとデータ移行をなんとか終えることができた。
マックはまだやってこない。なんでそんなにかかるんや。なんだがイライラしてきて、ぼくはアップルに電話して理由を尋ねた。「なんしろ上海から来るんで、それなりに日数がかかるんです」
「パワーブックは上海から来るらしいで」というぼくの言葉を聞いて、家内は「ほんまぁ。ウイルスがついてるかも知れんよ。アルコールでよう拭かんと」
「ほんまや」とぼくは笑った。家内は冗談を言ったのだとぼくは思ったのだが、そうではなかった。
家内は、アルコールを買いにいったのだそうである。
でも、どこへ行っても売り切れで、アルコールはなかったとのだそうである。(つづく)