中華民族の夢・習近平の妄想

 騒がしかった集団的自衛権も、ああでもないこうでもないという不毛の、もってまわった理屈の擦り合わせの末に、ようやく閣議決定されたようです。ぼくとしては、この結果は最初から予想していた通りの筋書きの進行だったので、別になんとも思いませんでした。
 とはいえ、これで日本もふつうの國になる端緒が開かれたともいえるわけで、ホッとしてはいます。
 この集団的自衛権容認は自民公明のパフォーマンスともいえる談合の末に決まったともいえるようで、これはあの忌まわしい河野談話も談合だったことが明らかになり、そうすると閣議決定なるものはなべて談合の結論といえるのかもしれません。
 もともと閣議決定というものは全閣僚の署名を必要としますから、パチカン選挙みたいなものでそれなりの擦り合わせが必要なのでしょう。

 さて、その談合が、こんどのように自国内の連立与党の自民・公明の談合ならそれはけっこう。ところが、「河野談話」では、これが我が国日本と外国韓国の外務省同志の談合だったことが分かったから、これは世紀の新事実だったといえます。そして、それを明らかにしたのは「河野談話検証」の成果でした。
 「河野談話見直し」に、血管を浮かし眉を逆立てて怒り狂う周りの二国に対し、そうですか「河野談話」は継承しますよとさらりと前言を翻し、間髪入れず「河野談話検証」を青青とやってのけました。
 そして、これが日韓の談合の結果で、捏造ともいえるものだったことがはっきりしたわけで、見事な官邸の勝利ともいえます。
 今後は「河野談話」ではなく、「河野談合」と呼び習わすことにしたらいい。そう思っています。

 この「河野談話検証」について、予想通り韓・中ともに文句を言ってますが、決まり文句の羅列です。習近平は韓国に飛びパククネさんとあって、親密さをことさらにアピールし、共同宣言を出したのですが、肝心の慰安婦問題や南京虐殺については入りませんでした。
 この少し前の先月6月の7〜8日、習近平はアメリカの遊園地サニーランドで、オバマと会談しました。
 そこで、習近平はこんなことをいいました。
 「太平洋は米中2大国を収納できる」
 「チャイニーズドリームとアメリカンドリームは相通じている」
 いったいなんの話なんです?

 これに対して、アメリカの管さんみたいなオバマ首相は、これには反応せず、「米中が、冷戦時代の米ソのようなイデオロギー対立を避け、協力できる分野を広げていく」という点では同意しますよと受け流したのはそれなりに立派でした。
 それにしても、習近平さんは変なくらい過激です。前の胡錦濤さんなどは、たとえば大国としての責任分担を迫られたりすると、まだ発展途上なのでとかなんとか言って逃げたそうなのですが、近平は大違い、身勝手の極みみたいなことを平気でいったりやったりしています。とんでもないタカ派だと思うのですが、それは棚に上げて、比べられないくらい穏健な安倍さんのことをタカ派タカ派となじっています。
 それにしても、チャイナドリームってなに? アメリカンドリームとどう通じるの? 
 金平さんは最近よく、「中華民族の夢」という台詞を吐くのですが、それがチャイナドリーム? だとしたら、アメリカ民族ってあるのかな。

 だいたいの話、中華民族などというのは妄想もいいとこの話で、存在しません。大和民族などとは比べるべくもないでっち上げの産物というべきでしょう。しかしWikipediaには載っていますが、読んでみるとそのいかがわしさが分かります。だいたい中国関連のWikipediaには、まともでないものが多い、ような気がしています。
 ひどい圧政と虐待を行っているウィグル族、蒙古族、チベット族などをまとめて中華民族などと勝手に呼んでいるに過ぎない。それで「中華民族の夢」っていったいなんなんですか。
 南シナ海は、2000年前には中国の領域だったなどと平気でいう。現在のチャイナ共産党王朝とこれまでの王朝とは何の連続性もないのです。「中国三千年の歴史」(最近四千年になったそうですが)などというのは、NHKの創作だと考えたらいい。

鄭和の航跡

鄭和の航跡

 たしかに、明の時代鄭和という大航海家がいました。彼は色目人の子孫のムスリム教徒でした。子供の頃去勢されて宦官となります。明の永楽帝に命じられて、7回の大航海を行いました。鄭和の船団の航跡は、東南アジア、インドからアラビア半島、アフリカにまで及びました。それは、いわゆる大航海時代に先駆けること70年でした。
 鄭和については、かつてぼくもおおいに関心を持ち、調べたことがあったからよく知っているわけです。
崇禎帝

崇禎帝

 明はやがて滅びます。明朝最後の皇帝は有名な17代の崇禎帝です。なぜ有名かというと、その死に方が哀れだからです。農民あがりの李自成を首領とする反乱軍に攻められ、すべての家来に逃げられ、ただ一人残った宦官を連れて紫禁城の北の山中に逃れて、そこで首つり自殺しました。

清朝の地図

清朝の地図

 そのあと紫禁城を占領したのは、例によって北から攻め込んだ満州国のヌルハチでした。これが清朝です。清朝は満州族ですから、満州文字を使っていました。

 この「眠れる虎」と恐れられていた清国と日清戦争を戦ったのは日本だったわけで、この敗北によって支那・清国の近代化が始まることになるわけです。
 中国の歴史というのは王朝が変わるごとに勝手に書き換えられてきたのですが、最後の王朝である共産党による歴史を書いたのは毛沢東です。毛沢東は日本によって近代化が始まったというのは面白くなかった。そこで、日清戦争ではなくアヘン戦争に置き換えることにしたといわれています。
 まあ好き勝手、都合の良いように書くのは、どこにでもあることとはいえ、毛沢東の中国史はひどすぎるようで、それをまた歴史学者が丸呑みしているので、どうしようもない状況といえます。

 世界の歴史を振り返ると、いつの時代も覇権を巡る争いがありました。
 15世紀は大航海時代で、ヨーロッパ諸国は競って海外進出を繰り返しました。スペインはアメリカ大陸に植民地を広げます。アジアに進出したのはポルトガルでした。
 17世紀には、オランダが台頭します。これと戦ったのがイギリスで、だから英語でダッチとつくと大体悪い意味です。
 18世紀、フランスとの植民地競争に勝ったイギリスは産業革命を成し遂げ、決定的に世界の覇権を握ることになります。
 20世紀になると、この世界を覆う白人の植民地支配に異を唱えたのは日本でした。世界を巻き込んだ大戦に勝利して覇権をにぎったのはアメリカでした。東西冷戦後も圧倒的な経済力で世界を支配し、世界の警察を標榜して世界を牛耳ってきました。
 そのアメリカの経済力が一気に減衰し、支配力を失いつつあるのが現状といえるでしょう。

 そこに登場してきた中華人民共和国共産党王朝独裁政権が率いるチャイナ。間違いなく世界の覇権をにぎると内心思っている人、あるいは自己崩壊の終末が近づいていると考える人も多いこの國に現れた習近平なる指導者。この國はいったいどんな状況で、近平とはどんな人物なのか。様々な意見考えがあってどうもよく分かりません。

陳破空 中国民主化運動活動家
天安門事件の学生リーダー 米国に亡命中

陳破空 中国民主化運動活動家
天安門事件の学生リーダー 米国に亡命中

 中国民主化運動活動家で天安門事件の時の学生リーダーだった陳破空氏。現在はアメリカに亡命して活動している。彼はこう語ります。
<中国共産党は長老グループに依然牛耳られている。
彼らを納得させる為に強い反日を打ち出す必要に迫られている。領空・領海で隣国を押さえつけているということを見せなければならない。>
 人事が固まったにもかかわらず権力闘争が続いていることは、江沢民グループが抵抗勢力としてなお存在し、習近平は熾烈な闘争を強いられているといわれています。

石平 拓殖大学客員教授
1962年四川省生まれ。88年来日。07年日本に帰化。

石平 拓殖大学客員教授
1962年四川省生まれ。88年来日。07年日本に帰化。

 テレビでおなじみの石平氏。彼も天安門事件当時は学生活動家だったのですが、この事件をきっかけに祖国を捨て、日本に帰化した人物です。
 1962年四川省生まれ。88年来日。89年天安門事件をきっかけに中国と”精神的決別”。07年日本に帰化。彼はこう語ります。
<習近平政権は鷹派に舵を切った。
胡錦濤政権時には、平和的台頭という言葉が用いられたが、習近平政権になってこの言葉が完全に姿を消し、代りに中華民族の復興、近代で失った権益を栄光を取り戻す。平和的台頭から習近平の口癖の強軍に置き換わった。
海を支配する、シーレーンを押さえれば世界を支配できる。> 
 核心的利益とは、世界の覇権を取る確信を意味しているとも取れると思います。

凌星光

凌星光

 けっこうテレビに登場し、いけしゃあしゃあと中国の代弁を述べる凌星光氏に関してなぜかWikipediaには記載がありません。ネットで調べるとこんなことが分かりました。1933年日本で生まれる。両親とも中国人で純粋のチャイニーズ。大学は一橋大学の法学部に入りますが、なぜか中退して国に帰ってしまいます。1959年中国中南財経大学国民経済計画学部卒業。この辺の情報は錯綜していてどれがほんとか分かりません。
 1990年金沢大学経済学部教授。1992年から日中関係研究所所長。福井県立名誉教授。
この人はこんなことを言いました。
 国境線というのは時代とともに変わる。中国が大きくなってきたのだから海洋公海に進出しようというのは自然の流れなのである。それを止めようとするのはおかしい。東シナ海では中国は他の国が何千という油井を掘るのを黙って耐えてきた。今回初めて掘っただけだ。それを批判するのはおかしい。
 尖閣でも同じことが起こる。だからそういうもめ事を避ける為には大人の知恵を出し合って以前のように尖閣も棚上げするのが最良の方法である。
 いかにも相手のことを考えない中国人の発想なのですが、この凌星光さんという穏健なインテリの考えは極めて一般的な考えのようです。
  
古森義久 産經新聞ワシントン駐在客員特派員
新聞社で米国特派員などを務め、1987年から産經新聞。中国総局長ワシントン駐在編集特別委員などを経て現職。国際強要大学客員教授。

古森義久 産經新聞ワシントン駐在客員特派員
新聞社で米国特派員などを務め、1987年から産經新聞。中国総局長ワシントン駐在編集特別委員などを経て現職。国際強要大学客員教授。

 プライムニュースで古森義久氏ががこんなことを話した時、キャスターの反町さんも島田彩夏さんも、えっと驚いたし、ぼくもビックリしました。
 <私2年間北京にいて、仲良くなった人もいたですよ、その中で中国政府の人でアメリカ専門家で英語が達者でアメリカに暮らしていて、私もアメリカに暮らしていたからよく知ってて、最後いよいよ2年間の勤務を終えて帰る前の日の夜に、ちょっと時間があって、ゆっくり話したんですよ。

 そしたら、日中関係これからどうなればいいでしょう、そう聞いたんですよ。そしたら彼ねぇ、
「やっぱり一つの國になることでしょうね」
 
でもね。文化も違うし政治も違うし、言葉も違うし、そしたら言葉なんかどうしたらいいんでしょうかねぇと訊いたら
 「そりゃぁ大きな国の言葉ですよ」>
 そういったんだそうです。驚きました。でもこれって、ふつうのインテリ中国人に取っては、極めてふつうの考えだということです。
 現在のチャイナの小学校の教科書に載っている地図によれば、日本列島の南半分は中国領となっているという話を聞きました。これは決してジョークではなく、50年後の真実かも知れないのです。

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