参院選が終わって

気がかりだった参院選の結果が出た。
昨夜、仮眠するつもりが寝過ぎて、目が覚めたら夜半前だった。
自民党完勝、民主党惨敗、それは十分予想した通りだったから、驚きはなかった。共産党が躍進した。
代表的な日本料理刺身のツマが増えたということで、ツマは多い方がよりヘルシーで悪いことではない。
ほとんど開票が終わっている時点での戦況速報は、どこのチャンネルも似たようなもので面白くも何ともない。そこで、ネットを見ることにした。
ニコ生を開くと、放送中のリストが現れた。

ニコ生チャンネル・放送中番組リスト2

ニコ生チャンネル・放送中番組リスト2

Shamin 実に様々の動画が放映中だった。その数なんと10数個。各党の選挙事務所のチャンネルがあった。社民党はどうなのかと思って、まずこの動画を開くと、福島瑞穂さんが真面目な顔をしてテーブルに座っておられた。
でも、全くの無言のままで微動だにしない。右手の人差し指の指先だけが小さく机の面を叩いている。
ニコニコの動画に「指先、指先」という書き込みがあって、その字が右から左にすーっとながれた。
一体どうしたことなのかと思って見ていると、少し物音がして、彼女が「はい」と答え、しゃべり始めた。その途端、音が途切れた。
そして「他チャンネルで放送が始まりましたので、音声を遮断します」というテロップが流れた。
なるほど、そういうことだったのか。これは、おそらくNHKが各政党ごとに設営した会見場で、そこにニコ生のカメラが入っているということらしい。
それにしても、この会見場、それは民主党でも同じだったが、まるで葬儀場の準備段階のようで、記者だけが10人近く詰めているだけだった。

SakuraChannelなんとなく鼻白む気分で、聞いたこともない人のサイトを見る気にもならずリストを追うと、桜チャンネルに行き当たった。
そこには、桜チャンネルの「闘論!倒論!討論!」で、おなじみの論者が顔を連ねていた。なんというタイトルなのか分からなかったが、(注:後日、VOTE2013、参議院選・夏!ネット生放送特番[桜H25/7/22]であることが分かった)自民党の勝利が分かった上での議論で、その後の日本がどうなるか、どうすべきか、いわゆる近隣諸国の反応はどうだろうか、などなど、テレビでは絶対に聞けない実に興味深い議論が交わされており、思わず見入ってしまった。
こういう番組が、ネット上で増え、それがお茶の間のテレビで簡単に見れるようになると、現在のマスコミは、パッシング、歪曲、捏造等の情報操作が難しくなる。だから、パイオニアのスマートビエラは絶対に売れて欲しくはないのだろう。
しかし、それを止める方法などはない。テレビの番組に比べれば、ネットの番組の制作費は桁外れに少ない筈である。もうそれは時間の問題で、ぼくたちは、好きなニュースや情報を好きな時に、何度でも見られる時が来るのだろう。そんなことを考えているうちに、小一時間で放送が終わった。

そうかといって、またテレビを見る気にもなれず、ネットをうろうろしていると、2チャンネルに行き当たった。
岡崎トミ子落選が報じられていた。2チャンネルらしい下品で汚らしい罵詈雑言が飛び交っていた。まあそれも仕方ないとも思え、正直言って小気味いい気分さえ覚えた。
落選おめでとうの書き込みは、山本太郎氏についても沢山見られた。彼がどうしてそんなに悪し様にいわれるのか分からなかったので、いろいろ探ると、中核派と関連があるという書き込みがあった。大昔の60年代の全共闘運動で生まれた数多くのセクトは、ほとんど消えたのだが、中核派だけは生き残り、こんにち原発闘争に生き甲斐を見いだしているらしいということは、聞き知っていた。山本太郎を支援したのは納得できる話だった。
また、中学生をそそのかして選挙運動のメールを配信させたという選挙違反を唱える書き込みも沢山見られた。
後になって、彼が当選したことが報じられた。明らかな違反ではあるが、選挙違反で立件は少し無理かもしれないと思えたし、だいたい当選すれば、訴えられる確率は減るらしい。
依然として、なぜ彼がそれほど悪くいわれるのか合点がいかないままだったし、どこの政党にも頼らず一人で選挙戦を戦ったその意気やよしと思ったのである。

Taniokaみどりの風代表の谷岡くにこ女史は、予想通り落選した。この人はしゃべる時に変に歯を見せる癖があって、思わず「ニヤニヤするな」と叫びたい気分になっていた。ところが、落選の弁を語る時には、さすがに神妙で歯を見せたのは、最後だけだった。
笑う気分ではないのだろうと思って、じっくり見ると、どうやらその部分部分がカットされているらしいことが分かった。なんとも親切な動画編集員がいるもんだと思ったことだった。

もう明け方近くになって、NHKが各党議員を集めて座談会をやっていた。コメンテーターに青山繁晴、森田実、桜井よしこの各氏が出席していた。
「アンカー」のレギュラーコメンテーターの森田氏は例によって和服である。ぼくは、ずっと前からこの人の言説が気に食わず、その経歴を調べたことがあった。東大の学生の時に共産党に入党したが、砂川基地闘争で意見が合わなくなり、殴り合いの喧嘩をして除名された。そしてすぐにブント(共産主義者同盟)を立ち上げた。バリバリのコミュニストだったようだ。ブントというセクトは世界初の共産党からの独立左翼といわれている。そして、ここから、分かれたのが赤軍派という有名なテロリスト・セクトだった。
ところが、そういう活動とはおさらばして、やがて2000年頃から着物姿のコメンテーターとしてテレビに登場している。この着物姿にはぼくは「アンカー」で始めて見たときからある違和感を持っていた。言ってることが、右なり超右だとしっくりするのだけれど、そうではないからである。
左がかった自分をカモフラージュしようとして、そういう輩は時として、伝統芸能に通じる風を装うこともあるようなのだ。カモフラージュするという意識、そういう自意識がなくても、人はあるバランス感覚を必要とするのかもしれない。あの有名な共産党議員も和服を着用してテレビに出ることもある。

Morita 前述の選挙後の番組で、森田氏と青山氏は尖閣棚上げ問題を巡って、けっこう激しく対立した。ああやり出したなと、ぼくは思いながら、見ていた。この人や孫崎氏、鳩山氏、そしてたぶん田中宇も同じグループで考えを同じくすると思われる。言っていることが同じだからである。
こういう人たちに共通するのは、ある事実(時としては表面的に)をとらえて、前後関係や因果関係などを考えることは全くなく、その事実を言い張るという特徴がある。田中宇さんの場合は、主にアメリカの新聞のコピペー的な思考が多いから仕方ないともいえるのだが。
森田氏は、2000年頃からテレビに多く登場し、その政治関係の優れた予見性に注目されたらしい。この人は、もともとそうした才能を持っていたから先のない反権力闘争にさっさと見切りを付けたともいえる。
しかしその予言は、2010年頃からことごとく外れるようになったそうである。日本の皇統はなくなり、国は中国に飲み込まれるようになると予見したのであろうか。
この人のパーソナルヒストリーを辿るのは、極めて興味深いと思われる。それは、日本のリベラルな評論家の一類型を示しているからである。

ネットの情報を追っていると、彼のブログに遭遇した。そして、最新のものには、次のような引退宣言があったのである。何となく合点がいったのだ。先ほど見た青山氏とのやり合いの後で、変にうなだれ首を折っている森田氏の姿が何となく気になっていたからである。
【森田実の言わねばならぬ 2013.7.21(その2)】
2010年夏の参院選、2012年冬の衆院選、2013年6月の東京都議会議員選挙、2013年7月の参院選において私の「勝手連的押しかけ応援」を受け入れてくださった各候補者と各選挙陣営の皆さん、ご迷惑をおかけしました。たいへんお世話になりました。深く感謝します。
 すべての候補者が勝利することを祈っています。長い間、本当にありがとうございました。益々のご活躍とご発展を祈ります。
 「老兵は死なず。ただ消え去るのみ」(マッカーサー)の言葉どおり、私は静かにゆっくりと引退します。ただ、天に召されまでは文筆の仕事のみ、少しずつ続けていきます。ジャーナリズムの道に入って50年経ちました。政治評論と書き始めてから40年以上になります。その間、多くの方々にお世話になりました。長い間ご支援をいただいたすべての友人の皆さん。ありがとうございました。

なぜかぼくはある感懐を催した。若かりし頃、おそらく不倶戴天の敵と思っていたであろうマッカーサーの言葉を引用しなければならなかった、あるいはなんのためらいもなく引用できた、そのことにたいしてである。
それにしても、こういう人がテレビから消えて行くのは、日本の国にとっては喜ばしいことだとしなければならない。