朝生「緊急事態条項」での小林節先生

 先日の朝生「激論!”憲法改正”是か非か?」を結構真剣に見た。ぼくの関心事の憲法改正がテーマだったからではない。もともとこの番組でそんなしっかりした議論が行われるはずがないと思っているからだ。
 小林節先生と小西洋之議員の両名が出席していたからである。
 憲法学者の小林節氏は、ぼくがこの<葉巻のけむり>で「この訳の分からん憲法学者ー小林 節」というタイトルで考察を行ったことがある。この記事が常に人気記事のトップで24時間の平均閲覧数が時には200を超えることもあるのは、「小林節」でグーグルとぼくの記事がWikipediaの次の2番手に出てくる。それが理由に違いない。

クイズ議員小西洋之 「専守防衛」って誰が作った言葉?との田原氏のクイズに困る

クイズ議員小西洋之
「専守防衛」って誰が作った言葉?との田原氏のクイズに困る

 小西議員の方は、自分を優秀だと勝手に思い込んでいる、あんまり賢くない人だという決めつけを勝手にしていたから、そんなに注目していなかった。発言を聞いていて、やはりなあ、なるほどなあと納得したことだった。改憲反対という結論は明確に表明するのだが、その理由が明確ではない。田原氏に突っ込まれて返答に困る様子がなんども見られた。
 この人も<葉巻のけむり>に取り上げている。国会でのクイズ質問である。

小林節先生 海外派兵は私反対ですけれど・・・

小林節先生
海外派兵は私反対ですけれど・・・

 さて問題の小林節先生。やはり訳がわからん憲法学者だった。
 最初のあたりで、「海外派兵は私反対ですけれど・・・」と言明した。田原氏が「あれっ、違うのね。変わったの?」と聞くと「はい変わりました。」と答えた。そして「平和国家としてやってきた日本が普通の国になろうとしている。小林さんはどうですか?」と質問され、こう答えた。
 70年間平和で大国で戦争に手を染めていない国は他にない。海外派兵はしない。戦争の止め男になった方がいい。
 「戦争の止め男」。それなに?と誰もが思ったようだが、この言葉を繰り返していた。まあ大体意味するところはわかる。
 グーグルで調べると、ありました。2015年の12月10日に、戦争はごめんだ!!まちだ市民連絡会が主宰する集会で、「戦争法廃止は可能だ!!民主主義ってなんだ?」というタイトルのもと、「憲法の危機」(はじめに)日本は民主国家です。という講演を行った。そこにおいて、この「戦争の止め男」について述べたようだ。

 その骨子は次のようなものだった。
私は、憲法9条で自衛隊と自衛戦争をはっきり認めるべきだという改憲論者です。しかし、今回改めて気付いたことがあります。
 経済大国の日本が実に70年も戦争をしていないという事実です。こんな国は世界の歴史上ありません。9条があるからです。誇っていい日本の「新しい国柄」です。テロや紛争、宗教対立が横行する国際政治では新しい価値です。日本はこの実績を生かし、「戦争の止め男」になれる。しかし、集団的自衛権で「米軍の2軍」になったら「止め男」の資格はなくなる。それどころか、東京でもテロが起きる可能性が一層高まります。そんな危険な道は断じてストップさせねばならないと思っています。

 おっしゃることはわかります。しかし、本当に世間知らず世界知らずのお話のようにぼくには感じられる。70年戦争しなかった原因を憲法9条と単純に決めるには異論が多い。それからだいたいこの人に「日本の国柄」などという言葉を使ってほしくない。
 話を戻して、ぼくが驚いたのは、田原氏の問いかけに対するこんな答えだった。田原氏はこう尋ねた。「日本はどういう国であるべき? 憲法改正には賛成?」
 小林節は答えた。
 自衛隊を自衛軍にする。海外派兵も大国としての責任があるから国連決議のある場合に限り海外派兵の用意ありと書く。
 国連安保理の決議があるときは派兵する。そしてなんでもやる。そりゃそうでしょう。世界のならず者をやっつけに行くんだから・・・。世界の警察ですよ。集団安全保障はやる。
 なんなんでしょうか、これ。米軍の二軍になったら東京でテロが起きると危惧しながら、世界のならず者をやっつけに行くという。訳がわからん。中東の情勢や歴史もあまりご存知ないようだ。

 話が緊急事態法になった。その必要性について、激しく意見が飛び交い、絶対必要という意見と政府の独断で一時的にせよ大きな権力を無条件に与えることになるから作るべきでない。法律で対処するべきだという考えが衝突していた。
 関東大震災の時の実例を挙げての必要論に、小林節先生はこんなことをぼそぼそと述べた。
 日弁連のシンポジュウムで結論が出てましてね。
 現行法がですね、災害があるということが理解されていなかったことこれが一つ。それからですね、事件は地べたで起きるんです。地区町村がそれぞれお伺いをたてるんで、時間がかかる。これを権限を下に落とす。この二つをやれば問題はない。だから憲法を作る必要はないんです。

 あれぇと思った。かなり意外だった。というのは、たしか2年前、自民党が憲法改正案を作った頃のことだった。プライムニュースでたしか4夜にわたって、憲法の問題が取り上げられた。この番組をすべて文字起こしして、「憲法を考える」としてこの<葉巻のけむり>に掲載した。
 たしか第4夜に小林節氏が登場し、緊急事態法について語っていた。立派な見解だと思った記憶があった。早速検索してみた。(当ブログ「憲法を考える」4/4
 ここに必要部分を紹介しようと思う。
小林:これ各論に入らずに事柄の本質を考えれば分かりやすいと思うんです。緊急事態というのは戦争とか天変地異つまり簡単に言っちゃうと憲法がぶっ壊されちゃった状態なんですね。だからそらすべての人にとって危険ですから、何よりもその危険な状況を追っ払うと、そのためにはですね、例えば敵軍が来て攻めてくる。「ここはうちの庭なんです」。うるさい、ここは陣地に使う。あるいは天変地異の後で道を開かないと、「いやこれうちの仏壇なんです触らないで」。うるさい、申し訳ないけどそうするしか仕方ないんですね。そういう意味では、これ憲法を改正するために憲法を停止するというか人権を停止して、今の民主主義というのは実利の民主主義ですから、手間暇かけて結論を出す。権力分立、二院制でぐたぐだ、これやってると国なくなっちゃいますから独裁者一瞬作るしかないんです。そうである以上憲法改修するために憲法を停止するという異常条項ですから、書かなきゃダメなんです。と同時に我々自己不信止めましょう。経験してるんだから要は、我々それ正しく使えるかどうか自分のために。
でその主権者国民が、その非常事態を宣言して権限を行使した政府を許せるか、政府を次の選挙で許すか許さないか。そんな心配することないんです。ないと、道具がないと話が始まらん。こないだの東北の大混乱、あれだって菅さんの個人的な問題によくされるけど、それ以上に制度と制度を支える哲学がないからオロオロしたんです。

 みなさん、いかがですか? どう感じましたか。立派な意見でしょう。理路整然、惚れ惚れします。
 「権力分立、二院制でぐたぐだ、これやってると国なくなっちゃいますから独裁者一瞬作るしかないんです。そうである以上憲法改修するために憲法を停止するという異常条項ですから、書かなきゃダメなんです。」
 書かなかきゃダメなんです、そう言っていたのに今は必要ないとおっしゃる。なぜこの意見を朝生でおっしゃらなかったのか? やっぱりどこまで行っても「訳のわからん」人であるようです。