なんで山登らへんの 第18回 1996.10.1
体験的やまイズムのすすめ
いまから数えてもう十数年も前のことになりますか。そのころ急に右腕が上がらなくなりました。腕を上げようとすると肩に激しい痛みが走ります。
バイクで走っていて、ピースサインの対向車にVサイン、「アイター」とバイクがよろけ、こけそうになる。
「どうやら四十肩らしい」と言うと、「五十に近いのだから五十肩でしょう」といわれたものでした。
この五十肩、医者にいっても針灸に通ってもなかなか治りません。もう岩登りもできんのかな、と思い始めた頃から快方に向かい始めたようでした。
ちょうどそのころの夏の終わり、剱沢から電話が入り、「ぼく暇になりましたし……」。
教え子で京大山岳部員のタケダ君からで、
「よっしゃ分かった」とぼくは二つ返事で、
「テント張って待っててくれ」とザックに一升瓶2本とつまみを詰め込むと汽車に飛び乗ったのでした。
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