先日の衆院予算委員会で、維新の会の山田宏議員がこんなパネルを示した。それは、「河野談話」の内容で、次のようなものだった。
「日本軍による強制性」の根拠となっている「河野談話」平成5年8月4日「慰安婦関係調査結果発表に関する内閣官房長官談話」
◉慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置,管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。
◉慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意志に反して集められた事例が数多くあり、さらに、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。
◉慰安所における生活は、強制的な状況のもとで痛ましいものであった。
◉当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意志に反して行われた。
木曜の定例ミーティングでぼくが示した国会中継のこのパネルを見て、I君は驚きの声を上げた。
「ええーっ。これもう韓国に負けてますやん」
「いや、違うやろ。これみんな事実無根なんや。ウソなんや。」
「でも、日本政府は代々これを認めているんでしょ」
ぼくが認識していた「河野談話」は、軍の関与があると考えられる場合もあった」と言う程度のものだったが、しかし精神的に多大の被害を与えたことに対して謝罪する」という位の内容であったから、なぜ韓国がしつこく難癖とも思える追求を止めないのか不思議でもあった。
しかしこのパネルの文面通りであり、それを歴代政府が認めているならば、反論できるのは20万人もの「慰安婦」はいなかったとか、強制的に拉致したことはなかった。などという言い訳めいた釈明しかない。
明らかに、この「河野談話」の内容は正しくない。この談話の作成に当たった当時の石原信雄・元官房副長官が証人喚問の場での証言によれば、韓国側の強い要望に応じざるを得なくなって、16人の元韓国人「慰安婦」の証言を聞かざるを得なくなった。そして、その証言の裏付けを取ることなしに「河野談話」が作成された。
後の調べでは、この「慰安婦」の生年月日から当時生まれていない人とか、証言にある場所に日本軍はいなかったとかの出鱈目さが指摘されている。
また、最近の産經新聞のスクープによって、「河野談話」が韓国大使館との数度の擦り合わせによる合作であることが判明している。つまり、事実より韓国の意向に添った形で捏造されたでっち上げ文書であるといえる。
そんな文書をなぜ作成したのか。当時の韓国は今より遥かに弱い國だった。近づく日本の首相の訪韓を控えて、極めて日本的な感覚で、弱者に対するいたわりと思いやりの気持ちと、相手が納得してくれるのなら謝っておこうなどという馬鹿げた考え持ったことが間違いだったのだろう。
密かなアメリカの後押しみたいなものもあり、韓国は情報戦を強化し、新聞広告看板等だけではなく、従軍慰安婦像を次々に建設してきた。
直近では、カルフォルニア州・グレンデール市での設置が決まり、これに反対するオンライン署名の呼びかけが行われた。昨年暮れのことである。かつては、2万票以上で再審議対象となることとなっていたが、現在では10万票となっている。たちまち5万票ほどが集まった。ぼくも投票に参加し、その投票の仕組みがあまり簡単ではないので、投票の仕方をブロクに乗せるべく原稿を書いたのだが、一緒に書こうとすることがいろいろあって、完成しないままに時間が経ってしまった。
10万票には達したそうであるし、現地の日本人家族もようやくこの問題に声を揚げ始めたと聞く。現地の日本人児童が学校で、この問題でいじめにあったりするに及んで、黙っておれなくなったのだろう。しかし、それでもって「慰安婦少女像」が中止されることはないと思われる。
ところで、冒頭に掲げた「河野談話」の中には「従軍慰安婦」との表現はなく、すべて「慰安婦」である。「慰安婦」が「従軍慰安婦」となったのは、数年前のことで、初めてこの表現を使ったのは亡国の新聞「朝日新聞」だったと聞く。
帝国陸軍の基地には「慰安所」があり、「慰安婦」はいたが、いわゆる「従軍慰安婦」などはいなかった。強制拉致して「従軍慰安婦」にした、というでっち上げのストーリーに乗ってはいけない。だから「従軍慰安婦」なる表現は使ってはならない。
英文では「Comfort Women」あるいは「Sex Slave」であり、「従軍慰安婦」なる用語は、日本だけである。あらゆる場所でこの言葉は「Sex Slave」と共に、忌避されるべきである。
この「Sex Slave」であるが、これは「性奴隷」の英訳であり、日本人の造語であるようだ。
<葉巻のけむり>の「亡国のリベラル派知識人の一人・上野千鶴子先生」でぼくは次のように紹介している。
<東大・上野ゼミの「ナショナリズムとジェンダー」のテーマの一つは「なぜ性奴隷が誕生しなければならなかったのか、そこから見えてくるものはなにか」だった。東大では慰安婦を性奴隷と教えるらしい。>
ここが発祥地であったのかも知れない。
もともと日本は奴隷が存在しなかった世界では珍しい國なのである。そこで「性奴隷」なる用語が生まれたのはなぜなんだろうか。
グレンデール市の慰安婦像の碑文は、「平和の碑」とのタイトルで次のように刻まれている。
<韓国、中国、日本、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、東チモールとインドネシアの自宅から連れ去られ、1932年から1945年の間日本の帝国軍に性奴隷状態を強制された20万人以上のアジア及びオランダ人女性を追憶して。2012年6月30日にグレンデール市が「慰安婦の日」を宣言したこと及び2007年7月30日に米連邦下院議員にて日本政府にこれら功罪の歴史的責任を求める下院決議121号が可決したことを祝してわれわれの真摯なる望みは、このような人権に対する不当な侵害が二度と繰り返されないこと。2013年7月30日>
ベトナム等での韓国軍の行動や混血児の問題には目をつぶり、「まったくよく言うよ」と思うのだが、「河野談話」ここまで膨張肥大のフレームアップを辿っている。
なぜか2007年に、時を同じくして各国議会での決議が成された。列記してみるとこのようになる。
◉121号決議 アメリカ下院 2007年7月30日
日本政府による軍隊向強制売春である「慰安婦」システムは、その残忍さと規模において前例を見ることのない、結果に於いて四肢切断、死亡または自殺まで引き起こした強姦、強制中絶、侮辱のシステムであり、20世紀における最大の人身売買事例の一つである。
◉米国下院決議(2007.7.30)
日本政府は1930年代から第2次世界大戦に至るまで、アジア諸国や太平洋の島々を植民地化したり、戦時に占領した過程において、日本帝国主義群が強制的に若い女性たちを「慰安婦」と言われる性の奴隷にしたことを、事実として明確な態度で公式に認め、謝罪し、歴史的な責任を取らねばならない。
◉オランダ下院決議(2007.11.8)
日本が、公に、いかなる遠慮もなく、第二次世界大戦以前から戦時中にかけて運営した強制性奴隷制度に対し、何人も疑うことの出来ない、いわゆる慰安婦に加えられた苦難に対して全責任を取るべきだという意見を持ち・・・
◉カナダ下院決議(2007.11.28)
それゆえ、カナダ政府は、一一九三年の河野談話の反省の表明をおとしめるいかなる声明も放棄すること、日本帝国軍のための「慰安婦」の性奴隷化や人身売買などは存在しなかったといういかなる主張に対しても明確に公式に反駁すべきであること、日本帝国軍が強制売春制度に関与したことに対する全責任を取るように日本政府に対して促すべきであり…
◉欧州議会決議(2007.12.13)
一九三〇年代から第二次世界大戦終了までのアジアと太平洋諸島の植民地及び戦時占領地において、日本政府は ianfuないしは”慰安婦”として世界に知られることとなる若い女性たちを帝国軍の性奴隷にするためだけの目的で公務として徴用し、”慰安婦”制度は、輪姦、強制堕胎、屈辱及び性暴力を含み、障害、死や自殺を結果した、二十世紀の人身売買の最も大きなケースの一つ・・、
この冒頭の121号決議は、すでにこの<葉巻のけむり>の慰安婦問題決議への憂慮(西尾幹二氏の陳述・撤回要求)で原文とともに紹介している。
この121号決議や最後の欧州議会決議で記述される「二十世紀最大の人身売買」という表現、そこには自国もやっていたがそれほど大きくはなかったという自己弁護が見て取れる。「Sex Slave」には、「Comfort Women」はいたけれど、「Sex Slave」はいなかったという浅はかな底意が透けて見える気がする。
しかし、この万国共通とも言える軍隊の慰安婦という事実に関して、謝罪を行った國は世界広しと言えど、日本国のみなのである。
「河野談話」があり、謝罪がある。これはやはり事実に違いない。そう思うのが人間の常識というべきだろう。
10年ほど前に、欧州で出版された本によれば、帝国陸軍は20万人の処女を選別し強制拉致したとされ、それが通説となっており、いまやそれはホロコーストと併置されるようになったとも言えるようである。
日本人でそんなことを信じる人は極めて少ないけれど、いわゆる「従軍慰安婦」を信じる人は存在する。調べもしないでただ信じているのだ。
NHKの宣伝に助けられて、昭和天皇を始めとする9人を被告とする大げさな茶番とも言える模擬法廷を開き、天皇陛下に強姦の罪で有罪判決を下すという、狂気の沙汰とも思える所業を行うような人もいる(2001年、日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷)。そしてそれをつぶさに報道するNHKという公共放送が存在する。
そうしたどう考えてもまともでない部分を持つ日本国で、時の政府が「河野談話」を踏襲すると言明し、首相が「多大の迷惑と被害を与えた」と言えば、世界中は韓国のプロバがンダを「やはりそうなんだ」と信じることになる。
いくらそんな事実はないと主張しても、「河野談話」を認め反省すると言えば、でっち上げと捏造の歴史の事実はますます強化され真実となってゆく仕組みなのである。
韓国は、「Sex Slave」を歴史遺産として登録すべく着々と準備を進めていると聞く。
「性奴隷」がどうして歴史遺産となるのか、想像を絶するのだが、日本帝国陸軍が「性奴隷」という歴史的なシステムを作ったという事実が歴史遺産となる。想像するだけで吐き気を催してしまう。
世界の中の日本国は、「金持喧嘩せず」などとのんびりしているわけにはいかない状況に、かなり前からなっていたことを知るべきなのである。
今世界は、新しい枠組みあるいは配列への変動を巡ってきしみを増しつつある。絶対に先送りしてはならない問題があることを認識すべきである。
「慰安婦」問題はその一つであり、「河野談話」は明確に否定するべきである。すべてはここに起因するからである。
安倍総理は、アメリカに一応予告した後に、記者会見で「河野談話」の全面否定を行えばよい。
とはいえ、ことはそれほど簡単ではない。当の本人の河野氏は自民党議員であり、自民党内には「河野談話」を支持妄信する議員も多いと思われる。
かつて、日本が連合国とサンフランシスコ講和条約を結んで戦争を終結した時、条文の一つに「東京裁判の諸判決を受け入れ」なる記述があった。
この部分のJudgements(諸判決)がすっ飛ばされて「東京裁判を受け入れ」となったので、東京裁判史観が成立したとされる。
それはともかく、いずれにしろこの条文に従えば、東京裁判で有罪とされた戦争犯罪人は、独立後も判決は無効とはならず、刑期を務め上げなければならなかった。
そこで、大々的な全国民挙げての釈放要求署名運動がわき起こった。そして、日本政府は連合国各国に個別に了承を求めた後、全員の釈放を行ったのだった。
聞くところによれば、「河野談話」の見直しに賛成する国民は6割を越えているという。また「河野談話」撤回を求める署名運動が維新の会によって行われるそうである。日本国国民が心正しい主権者として、「河野談話」を無効とするべく動く必要がある。
終わりに重ねていいたい。いくら学問的な検証や事実を述べても、「河野談話」が存在し、政府がそれを認めている限り、釈明すればするほど、それは世界中に補強されつつ拡散して行くことになる。
そして、誇り高く高潔なサムライの國であった日本は、やがて破廉恥でいいわけばかりする情けない國と思われるようになる。けっして楽観は出来ないと思われるのである。