池上彰「20世紀を見にゆく」欠番の理由は?

 前にも書いたように「池上彰の20世紀を見にいく」は、大変に面白い。
 どう面白いのかというと、まずその事実をすでに知っていて、一種の追体験的に見ることができるというのが一つ。知ってはいてもその真実は知らなかったということがあって、そうだったのかというような合点する面白さ。あるいは、全く知らなかったエピソードのような、トリビアのような事実があることなどがその面白さの理由ではないかと思っています。

 たとえば、アメリカが太平洋戦争に参戦し、飛行機などの兵器を大増産しないといけないので、女性の労働力を必要とする。そのためのキャンペーン映画をハリウッドに依頼します。戦闘機のペンキ塗りをしていた女性が写されます。この女性があのマリリン・モンローだった。
 この偶然で、彼女はたしか雑誌のモデルとなり、そして有名女優となります。
 と、ゆうようなことは、「ほんでなんやねん」という話ではありますが、全然知りませんでした。

 とにかくこれはDVDにしておくべきだと思った訳です。それで、きっちり録画した訳。103回目の「日本敗戦」で終了したので、メニューなどを体裁よく付けたDVDにするべく、パソコンに移動している時に気がつきました。
 欠番があるのです。あれぇ、なにかトラブって録画できなかったのかな。

 ぼくは、そうした欠番などがあると大変に気になる性格のようで、シリーズ物でそうしたことがあると、ツタヤで借りて欠番を埋めないと気が済まなかったりするのです。それで、これは困ったツタヤにも無いぞと思っていたら、うまい具合に再放送が始まりました。

 だいぶ先になるので、時間は分かっても何日かは分かりません。ずっと待ち構えていて、その日になりました。
 その時になって、はじめてまた欠番になっている、つまり前も放送されていなかったということが分かったのです。
 その欠番というのは、次の三つでした。

 第28回 盧溝橋で銃声〜日中全面戦争〜
 第29回 南京事件〜惨状を伝えた映像〜
 第30回 武漢攻略〜過酷な中国戦線〜
 みなさんも、すでにお分かりでしょうが、これはちょっと放映できないものばかりです。大いに問題になっている歴史の部分です。
 そんな訳で、ぼくも今更の如くこうした歴史の事件に興味がわき、インターネットで記事を拾い読みしたのです。あんまり詳細な記述があるのに驚きました。従来のぼくの理解とは大いに異なるものばかりでした。

 たとえば、盧溝橋事件では、どっちが先に仕掛けたのか。従来は日本の謀略となっていたようです。
 それは違う。あっちが仕掛けたのだと、自虐史観が俎上に乗っている。
 明確に反自虐史観派を自認しているぼくとしては、中国(支那)が仕掛けたと思っていますが、こんなうがったことを言う人もいます。つまり、八路軍(毛沢東側)が、日本軍と国民党軍(蒋介石側)の両方を戦わせようとした謀略だったという人もいる。
次の記事は少しびっくりしました。
「日中戦争の真実」
 南京大虐殺事件もまったく見解の別れる事件です。
 南京には「南京大虐殺記念館」というものがあり、これは日本のある政党の委員長が強く建設を薦め、3000万円の寄付によって建設されたという信じられない話をYouTubeで知ったところです。
南京大虐殺記念館は日本人が造った
 このあたりの話は、ミステリーめいたところもあって面白い。

 TV番組に対するクレームによって欠番となることは、けっこう多いらしいのです。
 たとえば、「相棒」シリーズでは、Season3の第7話「夢を喰う女」がクレームに依って欠番となっています。
 これは、図書館で閲覧者の個人情報を聞き出す場面が問題となったようです。朝日放送は、ちょっと変な謝罪だと思いますが、「令状を見せる場面を省略したことは不適切であった」と謝罪しテロップを流したそうです。
 DVDにも収録されていないそうですが、ぼくのところには録画したものがちゃんとあります。
 
 こうした放送後におこる問題によって、再放送で欠番になることは多々あると思われますが、20世紀を見にゆくの欠番は、そんな個人情報をどうしたというようなちゃちな問題ではない。
 ちょっと触れにくい問題であることは、分かります。しかし、時代は変わりつつある。勇気を持って変な気兼ねを捨て、古い映画によくある、「問題のある表現がありますが、原作の意図を尊重して放送します。ご了承下さい」と同じような感じのテロップでも入れて、放送してほしかった、と思います。それが、かりに自虐史観に基づくものであったとしても、あるいはその逆であっても、それはそれなりに価値ある映像だと思うのです。そうでなければ、「フィルムに刻まれた20世紀の記憶。それは未来への遺産である」のナレーションが泣いてしまう。そして「未来への遺産」とはならなくなってしまうのではないか。

 そう思っていた矢先、『池波彰の経済のニュースが面白いほどわかる本』という本を走り読みしました。「世界経済」の動きをつかむという章があって、TPPについての記述の最後の項に「TPP参加のメリット・デメリット」というのがあります。
 こう書いてあります。

 TPP交渉はこれからどうなっていくのでしょうか。日本がTPPに参加しなければ、日本抜きでアジア・太平洋の実質的な貿易・投資のルール作りが進むことになります。
 逆に日本が参加すれば、このルール作りに関わり、影響力を発揮することが期待されます。そして、輸出先の関税がなくなりますから輸出が伸びることになります。一方で、外国からの安い賞品も入ってくるでしょう。
 もっともTPP参加には反対の声が多いのも事実です。特にネックとなるのは農産物です。日本がTPP参加し、農業が国際的な競争の渦中に放り込まれると、たしかに零細農業は太刀打ちできないでしょう。
 しかし、日本の農家の中にはTPPに肯定的な意見もあります。国際競争力をつけて、本当に安心・安全なジャパン・ブランドの農産物を生産すれば、海外へと積極的に輸出することできます。中国やインドといった豊かになりつつある国がマーケットとなれば、可能性は大きく広がります。

 なにぼけたこと言うてはるのか。ぜんぜん分かっとらんではないか。なにが「面白いほどわかる」じゃ。そんな単純なものではないでしょ、と思いました。この辺が、池上彰の限界かも知れません。
 それにしても、『20世紀を見にゆく』の欠番の映像を見てみたいという思いがつのっています。どのような映像でどんな組み立てになっているのか。なんとか入手できないものか。
 ツタヤではもちろん無理ですし、同じ書名のDVDブックがありますが、これはセレクト再編集したもので、当然のことながら、件のものは含まれていません。
 どなたか方法をご教示願える方はいらっしゃいませんか。 

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