森友や加計の問題で一気にこの疑問が顕在化してきたように思うのです。なぜマスコミはこれほど安倍叩きをやるのだろうかという疑問です。
安倍首相は政権を立ち上げたとき唱えたのは、戦後レジュームの脱却でした。その後あんまり言われなくなった戦後レジュームってなんなのだろう。ともかく戦後の日本で出来上がった仕組みのことなのですが、その内容についてここで詳しく述べる気はありません。
ぼくの理解は極めて大雑把なのですが、まあ以下のようなことなんです。
戦前の日本を支える勢力がありました。軍部、政治家、政商、財閥、官僚などです。
マッカーサーは、これらの勢力をすべて叩き潰したのですが、ただ一つ潰さなかったものがありました。それは官僚たちでした。
戦前の日本では、政府の周りを政商と財閥が取り巻いており、これによって日本の経済は動いていました。これらが消滅した戦後、どのような仕組みで、日本の経済は動いたのか。
一部復活した政治家と無傷だった官僚は一丸となって戦後の政府を形作り、新たな仕組みを作りました。財閥は無くなりましたから、代わりに公社・公団・特殊法人などを無数に作ったのです。そのそれぞれにまるで金魚のうんこのように民間会社が繋がっていました。
国家財政はこうした法人を通じて順におこぼれを頂戴する会社に分配されていく仕組みが完成しました。それを巧妙にアレンジしたのは、東大出の優秀な官僚でした。
当時、世界一優秀なのは日本の官僚だというのが流行り言葉のように言われ、馬鹿な政治家であっても日本は問題なし、いくら首相が置き換わっても日本は安泰だと、ぼくたち大衆は信じていたのです。
実際この仕組みは実にうまく働いたようで、世界に類を見ない急速な高度成長を日本は達成したと言えます。
どんな仕組みも古くなれば利権が肥大し腐敗し堕落します。日本が戦後作った仕組みもだんだん問題が起こってきたようです。それが問題となったのは、プラザ合意以後だったのではないかと思います。
そしてドルショック、オイルショックなどがあり、バブルの崩壊が起こりました。
長期政権の自民党のお金にまつわる腐敗が次々と暴かれる中、かっこいい「マニュフェスト」と呼ばれる選挙公約を掲げた民主党が、マスコミの全面的支援のもと躍り出てきました。
ところで、この「マニュフェスト」という言葉、アメリカではほとんど知られていないのだそうです。ただ高校の教科書には「ザ・コミュニスト・マニュフェスト」という言葉が載っており、その意味するところは、共産党宣言なのだそうです。
それはともかく、このほとんど実行されることがなかった公約を連ねた「マニュフェスト」を掲げた民主党は政権をとりました。
民主党が目指したことの一つは、官僚から政治の実権を奪い取ることだったと思います。しかし、なめてはいけない。戦後の日本の政治を動かしてきた官僚はそんなにヤワではありません。それに、駆け出しの民主党に、そんな官僚を使いこなせる能力も志もなかった。
官僚が政治を動かしてきたという証左に「次官級会議」がありました。これはなんなのか。次官というのは各省庁のトップは大臣ですが、その次に位置する最高の地位が次官です。今回の問題になっている前川さんも文部省次官です。
この「次官級会議」の説明の前に、政府の「閣議決定」について述べる必要があります。
政府が法律を作るときには、「閣議決定」というものが必要とされています。これをするには閣僚全員の署名が必要です。だから誰かが反対のときには、首相はその大臣をすげ替えて「閣議決定」を行うというようなこともあります。
ところが、戦後ずっと次官級会議を通さないと閣議決定ができないということになっていたのです。これはGHQの指導で出来上がっていたのです。閣議決定の前日に次官級会議が行われるのですが、なんと、各省庁の次官には拒否権が認められていたのです。つまり一人でも反対があれば通らず、従って閣議決定もできない。つまり猛烈な官僚への根回しがないと閣議決定が行えなかったのです。
この次官級会議を民主党政権は廃止しました。
そうであったからこそ、安倍政権は日銀の首をすげ替えることができ、アベノミックスが実行できたわけです。また内閣法制局の首をすげ替えることができ、安全保障に関わる多くの法律の制定が可能になったのです。
この政治の主導権を官僚から取り戻すという狙いは安倍さんも同じなのですが、こうした戦後に出来上がった仕組みを守りたい勢力はあらゆるところに存在します。それは自民党内にも少なくないと思われます。特にマスコミの殆どは、こうした安倍政権に対する抵抗勢力と言えます。
政治とカネの問題の解決が図られる中、法人と天下りの問題は解決というより、新しく姿を変えての生き残りを計ってきたのだと思います。
しかしその中で、文部省だけは学校法人というあまり営利に関係がないとされたのか、昔のままの形の温存が許されていたのではないかと思うのです。
あまり整理しないままの思いつきの記述となったのですが、こんなことでご理解いただけたでしょうか。安倍さんは、こうした戦後の仕組みをなんとか改変しようと頑張っておられ、その一つが岩盤規制の突破と呼ばれるものなのだと思うのです。
安倍さんに反対する左翼やその他の人たちは、単純にいろんな意味で、自分たちの利権を守りたい勢力に属していて、今やなりふり構わない行動を始めている。そんな気がしています。
先日の証人喚問の中継をつぶさに見ましたが、野党の追及の本旨がぼくにはわかりませんでした。
例えば、以前「自分は一切関与していない」と言っていたのに今度は「獣医学科はいくらでも増やす」というのは矛盾しているではないかなどという。組織の長として大方針を決めるのは当然。でもその個々の事例に口を挟むことはしないのは当たり前で、なんら矛盾することではありません。
大きな問題は、マスコミが追及側ばかりを報道し、政府側の質疑を全く取り上げない点だと思いました。
参考までに、Youtubeにあがっている青山繁晴氏の質問をみるといいと思います。
青山繁晴 文教科学委員会 内閣委員会連合審査会 2017年7月10日s(40分)
(追記)2017/07/18
上のYoutubeの動画を見て分かる通り、最も重要なのは、愛媛県今治市への獣医学部誘致を進めた加戸守行・前愛媛県知事の約20分間にわたる訴えでした。加戸守行氏は、前知事だけではなく、元文部官僚であり、前川氏の大先輩に当たります。彼の発言は誠に当を得たものであることは誰が見ても分かることでした。
ところが、この発言を産経新聞を除いたほとんどの新聞が全く無視し報道しなかったのです。その発言部分だけをポッカリと飛ばして報道したのだそうです。
マスコミの言語道断の汚い狙いが見事に浮き彫りになったといるようです。
このことに関して、新聞・テレビを調べた方がおいでで、その結果は次のようになっています。
ご覧の通り、NHK、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞は全く報道せず、産経と読売はしっかり報道したようです。