来月3日に内閣改造が迫り、石破幹事長の人事を巡っての話題がしきりです。
家内は、「わたし、あの人きらい」といいます。どうしてと訊くと、「あの顔、目つきが嫌い」といいます。しかし、政治家の好き嫌いを顔つきで決めてはいけない。
とはいえ、ぼく自身、石破さんには最初から、ある胡散臭さを感じ続けていました。しかし、今の自民党では、彼は押しも押されぬナンバーツーだと思います。
その彼に、安倍さんが安全保障法制担当相への就任を依頼したのがことの始まりだったようです。石破さんはこれを固辞し、幹事長を続投したいと表明しました。安倍さんは譲らず、断るなら「無役」という意向も報道されています。まことに困ったことです。この世界が揺れ動いてる大切な時期に党内抗争をやってる場合か、なにを考えてるのだと、思ってしまいます。
安倍さんは、色々ケチをつけられながらもアベノミックスでデフレを脱却の方向に導いてきたし、外交でもこれまでの政権が出来なかったようなことを着々と実行しつつあるといえます。拉致問題でもサプライズが起こるかも知れない。北方領土確定問題においても、オバマが決定的にロシア敵視の政策を決定する中で、プーチンとも巧みな外交手腕を発揮しつつあるといえます。
このままでいったら、安倍長期政権が出来上がるかも知れない。これは、石破さんを取り巻く古い議員たちに取っては、恐怖といえるでしょう。未来がなくなるくらいに思えるのかも知れない。
そうした中で、石破新総理を作る動きが始まったと考えられるのではないだろうか。石破さん個人の考えではないと考えられるのです。石破さんは、これまで通りに安倍・石破ラインで日本の防衛を考えて進めばいい。そうすれば、間違いなく総理の座は落ちてくるのは間違いないのですから・・・。でもそれを待ってられない取り巻きがいるということなのでしょう。
幹事長は金庫番みたいなもので、強力な力を持ち得ます。これを手放してはならない。唯一この一点だと思うのです。だから新ポストは断る。それには、もっともらしい理屈を作りました。いわゆる「国家安全保障基本法」を使った説明です。
この考え方は、単純化すれば、集団的自衛権の法制化には安保条約改訂が必要とするか、安保条約とは関係ない法改正でやるかという二つの考え方です。安保条約改定は必然的にアメリカのコントロール下に入る改訂を意味します。安倍さんはそれはいやで、日本独自路線の集団的自衛権を作ろうと考えているといえます。
この辺りになると、二人の国家観・歴史観の相違が浮き出てくることになります。
それらを観る為には、二人が争った総裁選当時の状況を考える必要があります。あの時、靖国参拝を明言した候補は安倍さん一人でした。本命とされた石原伸晃候補に至っては、なんと、河野談話を支持していました。
Wikiなどで見てみることにします。
その頃の、取材に対する回答です。
石原伸晃ーー「河野談話はすごくよくできていた。談話を読む限りでは、広義においてはそういうこと(強制連行)もあったんではないかとうかがえる文面になっている。そこに知恵があった」
町村信孝ーー「当時の官房長官の一つの知恵として出された。全面否定するつもりはない」
石原伸晃氏は、「首相になった場合に靖国神社に参拝するか」と問われて、次のように答えていました。
「天皇陛下のご親(しん)拝(ぱい)が実現するために務めるのが政治の使命だ」
「天皇陛下がご参拝できるような靖国神社にすることも大切だ」
彼は、「A級戦犯分祀論者」なのでした。この点は石破さんも同じで、彼は一度も靖国参拝をしたことはありません。そのくせ「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」に名を連ねている。これなどはぼくの感じる「胡散臭さ」の一つでもあります。
石破さんは、幹事長就任以前だと思うのですが、気になる発言をいっぱいしておいでです。いくつか挙げてみます。
◉『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中』の番組でーーー第二次世界大戦が日本による侵略戦争だったことや、大東亜共栄圏が侵略戦争遂行のための詭弁でしかなかったとの認識を示している。
◉朝日新聞社刊『論座』においてーーー教育基本法に愛国心を明文化することに反対の姿勢を示した。「愛国心は国が政策面で強制するものではない」というのが理由である。
◉北朝鮮への経済制裁に関してーーー「中国韓国が支えるので全く効果がないのみならず、北朝鮮に「日本が潰したから」として、六者協議に参加しない口実を与え六者協議の決裂、ひいては国連安保理に拉致問題を含む北朝鮮の諸問題を持ち込んで、国際社会全体で制裁を課す機会を永久に失わせるからである」
ぼくにいわすれば、これはなんとも冷たい態度で、本当に解決しようとする熱意があるのかを疑わせる見解です。しかし「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」に名を連ねている。なんとも「胡散臭い」。
◉毎日新聞ーーー石破茂政調会長は14日、「(永住外国人の)真摯(しんし)なニーズに応える道も提示したい」と述べた。
この外国人の地方参政権問題について、平沼赳夫氏が自分のブログで次のように批判しました。
「去る1月14日、この地方参政権問題について、反対の地方議会決議を推進するよう通知を出すことが検討されたのですが、石破政調会長らの反対で、結論は先延ばしになったというのです。1月24日の自民党党大会に向けて、鴨下一郎、古屋圭司、下村博文、高市早苗、山谷えりこ先生らが自民党執行部に働きかけをしていますが、このままだと、自民党として地方参政権反対の姿勢を示すことができるのか、微妙だというのです。」
この件について、多数の抗議メールが来たようで、石破氏は次のように回答しました。
ぼくは、この回答の中に石破さんの本質があるという気がしています。
{これは私の手法なのですが、賛成論を徹底的に分析し、如何なる論点にも明確に答えられるようにしなくては論戦には勝てません。ましてや相手は圧倒的多数を持ってこれに臨もうとしているのですから、尚更のことです。精神論や不十分な準備では決して戦には勝てないからこそ、世論の圧倒的な支持を頂くためにも周到な準備を持ってあたります。時間的な制約もよく認識しておりますことを申し添えます。}
つまり、本質的な理念や観念よりも、論理的に整合性が取れており、議論に勝つことが重要だとする誤った近代合理主義的観念の重視です。
<中国共産党系の新聞「世界新聞報」(一月二十九日)に駐日記者が石破大臣の執務室でインタビューした内容が掲載されており、これは写真と共に世界中に配信されたという。石破大臣の発言は次の通り。
●私は防衛庁長官時代にも靖国神社を参拝したことが無い。第二次大戦の時に日本の戦争指導者たちは何も知らない国民を戦争に駆り出し、間違った戦争をした。だから私は靖国神社に参拝しない、あの戦争は間違いだ、多くの国民は被害者だ》
●日本には南京大虐殺を否定する人がいる。三十万人も殺されていないから南京大虐殺そのものが存在しないという。何人が死んだかと大虐殺は別問題だ》
●日本には慰安婦についていろいろな見解があるが、日本軍が関与していたことは間違いない
●日本が大東亜共栄圏の建設を主張したことは、侵略戦争に対する一種の詭弁だ》
●(中国は日本に対する脅威であるから対中防衛を強化せよと言う人たちは)何の分析もしないで中国は日本の脅威だと騒いでいる
●日本は中国に謝罪すべきだ >
本当に、石破さんはこう言ったのか。「世界新聞報」の記者のフレームアップがあったのではないだろうか。ぼくは全面的に信じる気にはなれないでいます。
いずれにしろ、彼のスタンスは次のように規定されているようです。
●人権擁護法の推進派
●外国人参政権推進派
●北朝鮮へ制裁の反対派
●反靖国参拝でA級戦犯分祀派総理はいくべきでないという考え
●女系天皇推進派
●核兵器断固絶対反対派
●反国産兵器
●徴兵制推進派
●P-X潰そうとした
● 軍事オタクと言われているが知識があることと軍事に優れた見解を持っているのは別
●専守防衛
●媚中
●安倍内閣時代に党内、テレビでも激烈に安倍総理を非難、足を引っ張った一人
などとなっていますが、このうち上から4番目までと、最後は間違いないといえるでしょう。
さて、では内閣改造はどうなるのか。ぼくは政治評論家ではない一介の素人国民です。しかし、見解を述べることは許されるでしょう。
石破さんが留任することはあり得ない。しかし、「無役」となることもないと思います。石破さんは、安倍さんが身を引くまで、日本の為に尽くしてください。
あなたが変に頑張っても、日本国を始めとして誰も得をすることはありません。くだらない政治家を除いては。
理屈合わせはいいです。大体、わずか19票差で敗れて、安倍政権の幹事長になったときも、安倍さんとは大いに国家観も世界観も異質だったのではないですか。その違いを際立たせて、分裂の波風を起こそうとするマスコミや近隣諸国に抗して頑張ってきたはずです。もうしばらく頑張ってください。かならず、あなたが総理の時代が来ます。若いのだから急ぐ必要はありません。
そして、その時代が来たときは、日本も大分変わり、あなたも変わっていることを望んでいます。