ランチア・イプシロンのこと

ランチア・イプシロン

先月に10数年近く乗っていたランチアのイプシロンが突然動かなくなった。ランチアというのは、イタリアの名車で、ヘミングウェイの愛車だった。
白洲次郎が結婚したときに、父親の文平氏が新婦の白州文子にお祝いとして贈ったのはランチアだった。
昔、ローマからの帰り、空港の近くのペンションで車を呼んでもらったら、いわゆる白タクがやってきた。ローマの道というのは、ご存知のように石を敷き詰めた道である。そのガタガタ道をなんともスムーズに走る車に驚いて、思わず運転手に「これなんという車?」と尋ねた。
運転手は、そんなことも知らんのかと馬鹿にしたような顔をして「ランチアだよ」と答えた。これがぼくとランチアとの出会いだった。

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