<延槻(はひつき)の河のわたり瀬あぶみ漬かすも>

早月尾根と早月川

早月尾根と早月川、その先に富山湾がある

突然、高校山岳部員だった教え子が、おそらく20年ぶりくらいに電話してきて、「劔のことを教えて欲しい」といいます。
なんでも、2人で劔に行きたい。小窓の王へはどう行ったらいいのか、と訊きます。尋ねても、「北の方の尾根からいきたのです」等というだけで要領を得ません。
「小窓尾根から行こうと思ってるの?」
「そこはザイルは必要ですか」などと言っています。
そういう要領を得ない問答を繰り返して、ようやく彼が早月尾根を登って池の平に抜けようとしているということが分かりました。
一緒に行くのは、5年ほど前から山を始めた素人だといいます。
「無理や。早月尾根は一般コースと言ってもいいけど、劔山頂から三の窓はコースじゃないよ。その先池の平まではもっと大変。止めた方がいい」
結局、弥陀ヶ原から劔沢を下って、二股経由で池の平というコースに決まりました。「近いうちに伺いたいと思っていますのでよろしく」ということで、電話が終わりました。
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戦後日本における「私」の異常肥大

先日、教え子で大学の先生をしているフェースブックの友達が、またまた起こった「いじめ事件」について、コメントするとたちまち70を越える「いいね」が記され、多くのコメントが書き込まれました。
彼のコメントの中でぼくが注目したのは、こんな部分でした。
「日本は、「みんな」を解体し、「私」の集まりになってしまいました。「みんな」で教育し。「みんな」で育て、「みんな」で見守るのをやめちゃって、あるのは「私」だけ。今や、親子も兄弟も「みんな」ではなくなったみたい。そして、「みんな」の機能は先生だけに期待されています」

それで、ぼくはこんなコメントをしました。
「まったく同感ですねぇ。その目的を「人権」として最上位に置いた現行憲法、極端にいえば、「人権教」の行き着いた状況を示しているのだと思いますよ。そこのところが分からないまま、みなさん尻尾をくわえて回る犬状況なんじゃないでしょうか。書くと長くなるので、ここで止めてるだけで、評論家の高みの見物態度ではないので、誤解しないでくださいね。」
するとすぐさま、「ありがとうございます。先生の高い見識は本質を見抜いておられると思います。いつもブログを拝見し、そう感じています。」という書き込みがされました。
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これは面白い!「しっかり学ぼう!日本近現代史」

この頃、YouTubeにはまっています。
YouTubeといってもそこにある動画は無数と言っていい訳だし、的確には表題の「しっかり学ぼう!日本近現代史」にはまっているという訳。
近現代史をぼくたちはあまり知らないといえます。その知識の大半は大河ドラマからのものだったりする。
「しっかり学ぼう!日本近現代史」は一週ごとにくくられていて、各週6話つまり、月〜土の毎日15分のシリーズです。
現在はもう第10週に入っていて、タイトルは「これがほんとの昭和初期〜大日本帝国滅亡の原因」です。そして第1話は「昭和初期の日本〜暗黒社会…ってほんと?」となっていますが、ぼくはとてもそこまでは行けず、第4週の辺りです。ここは「激動の幕末へ」です。
この週の最終第6話は「薩長同盟〜若者の志が日本を動かした」です。
このシリーズの面白いのは、通説の裏が明かされることと、いつも今日の事実との対比がされることです。
たとえば、薩長同盟は池田大作と宮本憲治に手を組まそうとしたみたいなとか、薩長同盟は西郷・大久保と木戸孝允の話し合いだけだったが、長州が幕府軍を撃退した時に始めて同盟になったとか、同盟というのはそんなもんで、アメリカが止めたといえばそれでしまいという話になります。
また「そこでこれ」とパネルがでてきて「野田佳彦、いや違った徳川慶喜」などとふざけが入るのですが、こうした喩えが極めてリアルで分かり易かったりするのです。

このシリーズは「CGSチャンネル」 ChGrandStrategyチャンネルグランドストラテジーで放映されています。
今年の4月頃から始まったようです。上の紹介の動画があるのでそれを見ましょう。

日本近現代史画面日本の近現代史は、「黒船来航」から始まるというのが常識ですが、このシリーズでは第3週の4話になって初めて出てきます。それまで、十数話にわたって、延々と諸外国の状況や世界の動きがつぶさに省察されます。世界や周囲の状況があって初めて立ち位置というか、日本が分かるという訳です。
そして、いよいよ始まるのですが、その第3週のタイトルはというと「ペリーが来る!だから、どうした?」なのです。さらに第4話「ペリー?誰、それ」です。
ペリーは脅しにやってきたように思われているけれど、実はそうではなかった。けっこう優しい男だったようで、密航しようとした吉田松陰が罰せられることを心配して、幕府に寛大な処置を求める手紙を書いているのだそうです。
日本の侍はびっくりはしたのですが、他の国は恐れ戦いたのだけれど、日本はそうでもなかったようです。浦賀に出かけスケッチをして、どうかね作れるかねと船大工に尋ねた。作れるでしょうとほんとに作ってしまったのだそうです。日本って凄いという話がでてきます。
それにしても、マッカーサーが厚木に来た時に、ペリーの掲げていた旗を持参したというのは、果たしてどっちの意味だったのでしょうかねえ。
どうです。興味わきましたか?このシリーズ。
是非ご覧になってください。

エジプトの政変に思う

エジプトの政変がニュースになっています。
今回のクーデターは、始まりは2年前の「アラブの春」にあります。アメリカなどはクーデターとは呼びたくないようです。アメリカには「クーデター」には介入しないという取り決めがあるようで、だから介入の選択肢を消すようことは言いたくないという本音がある。なにしろイスラエル・パレスチナ問題を抱えるアメリカにとって、この国の動向は極めてセンシティブな問題だからです。しかし、これがクーデターであることは間違いありません。
昨年、正当な選挙で選ばれたムルシー政権は憲法改正を国民投票にかけ、新憲法を制定していました。このとき、憲法に拘束されない軍部との関係に関しては、ムルシー大統領とのかなりのせめぎ合いがあり、軍部がかなり譲歩を余儀なくされた形で、折り合ったことを、NHKスペシャルで見た記憶があります。

ところでこの「アラブの春」はチュニジアの「ジャスミン革命」から始まりました。なんでそういう名前がついたのが不思議だったのですが、ネットで調べるとチュニジアの国花がジャスミンだったからということで、えらく単純な由来でした。でも、この革命のきっかけはけっこうドラマチックです。
26歳の露天商の青年が道ばたで果物を売っていたところ、認可を得ていないということで果物と秤を没収された。役所に秤の返還を求めに行くと、女性職員に侮辱され賄賂を要求されます。これが3回にも及んだので、彼は役所前で焼身自殺を図りました。これがきっかけで抗議デモが拡大して行き政権が倒れました。
これが、3年前のことです。それにしても、この「焼身自殺」にぼくは、アジアの同胞を感じてしまうのです。白人は決してこんなことはしません。
この「ジャスミン革命」次々とアラブ世界に飛び火してゆきます。いわゆるアラブの春です。
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日本を囲む海外の「戦後レジューム」

竹田恒泰氏が、その著書『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』の冒頭で、2006年(平成18年)に英国のBBC放送が行った世論調査の結果を紹介しておられます。
これは、世界の33ヶ国で約4万人を対象に行われました。その結果、「世界によい影響を与えている国」として、最も高く評価されたのは日本でした。この調査では、33ヶ国中31の国で日本の影響力について、肯定が否定を上回り、うち20ヶ国で肯定が50%を上回った。最高は、インドネシアの85%次いでフィリピンの79%でした。このことは心に留めておかないといけないでしょう。また否定が肯定を上回ったのは、2ヶ国だけで、それはいわずと知れた中国と韓国でした。これは容易に納得できます。
しかし、そんなに沢山の国が日本を評価してくれているというのは、悪い気持ちはしないものの少々意外な気もします。
やはり同じ調査で、「自国の影響力についての自己評価」というのがあります。
肯定する、つまり自分の国が影響力があると考える国民のパーセンテージです。最も高いのは、ブラジルの84%でした。2位は中国、以下ドイツ、ロシア、韓国(76%)と続きます。それで日本はというと、なんと最下位から2番目の43%なのです。
他が評価しているのに自分は駄目だと思っている。それは日本的奥ゆかしさの問題ではないかなどという人もいるかもしれませんが、そんな話ではあり得ない。その理由はなんなのか。日本人はよく考えないといけないと思います。
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